試合前、選手達は マスコミからの取材を受ける。拒否権もあるが よっぽどの事がない限り 応える選手は多い。顔なじみの記者になればなるほど 気楽に応じる。また、当日、テレビ中継のある関係者は放送に使えるコメントを求め選手に取材をする習慣もある。

どうしても マスコミは コアなコメントを選手から貰うために親密な関係を築きたい。その為には 批判記事や批判的なコメントは避けたいところだ。それは 解説者にしても同じである。

選手は「どうして 自分の事を悪く言う人の質問を受けなくてはならないのか」という心境になり そんな人に質問を受ければ 素通りするか、通り一遍の答を言って無愛想に立ち去る。

人気球団ならではの選手の対応である。巨人の選手もタイガースの選手も この傾向はあるが 私の感想では タイガースの選手の方が顕著にこの傾向が出る。

そもそも、巨人の選手は 記者と食事に行ったりはしない。記者とある程度の距離を保ちながら付き合っている。

ところが タイガースの選手は テレビ関係者を含めたマスコミと仲が良い。この時代、どちらが良いかは分からない。地域性もあるだろう。ただ言えることは 選手とマスコミが近けりゃ近いほど 批判的な報道はなくなるという事だ。

1度でも 批判的な報道をすれば その関係にヒビが入り 良好な関係を崩すことになりコアなコメントを貰う事はなくなるだろう。

タイガースを取り巻くマスコミの環境は このような状態だ。一昔前、このような事は 一部の主力選手の周りにしか起こらなかった出来事だったが 今は それが蔓延しているようだ。

今、サッカーのワールドカップが行われているが 海外のメディアのコメントは 非常に厳しい。メジャーリーグも厳しいが サッカーの海外メディアはそれ以上に厳しいようだ。しかも、サッカーをよく知っている。

ファンの立場から見れば このような報道の仕方には 個人的な好き嫌いがあるだろう。テレビを含めたマスコミ報道がコアなものが良いのか、ビシッと厳しいものが良いのか個人差があると思う。

私のタイガース改造論というか 常勝チームに変えて行く為の方法論の中に 絶対に 改革しなければならないのがこのマスコミ対策である。

このままでは 選手が育たない。もちろん、マスコミ関係者が すべて 悪いというわけではない。それに 甘える選手も悪く そんなぬるま湯に浸かった環境を変える必要があるのだ。

野村克也さんの教えに無視・賞賛・非難という言葉がある。これは 上司から部下への評価を表したもので 三流は無視、賞賛されてるようじゃ まだまだ半人前、非難されて初めて一流、という意味らしい。

野村さんらしい言葉である。タイガースの選手も もっと どしどし非難される環境が欲しい。「よいしょ」や「褒めちぎられる」選手から「非難」や「批判」を受ける選手になって欲しいと思うのだ。

そんな事を強く感じさせる昨夜のCSのテレビ中継だった。

さて、昨夜の試合、なんの盛り上がりもなくゲームセットを迎えた。

「覇気」が感じられない。覇気とは進んで事に当たろうとする意気込み。覇者になろうという気持ち。人に勝ってのし上がろうとする野望。野心。という意味らしい。

このような意味ならば 昨夜の試合は 人に勝ってのし上がろうとする野望は まったく見られず 覇者になろうという気持ちも感じられなかった。

7回裏 、1死1塁 新井貴の6-4-3のダブルプレーで勝負が決まった。ただ、珍しいプレーも見れた。8回表 楽天の新加入の外国人選手、ラッツのレフト線の打球がエンタイトルツーベースになったのだ。

甲子園でのエンタイトルツーベースは 非常に珍しい。私の記憶の中では 1992年以来だ。92年の話は また 別の機会にするとして 滅多に見られない甲子園でのエンタイトルツーベースを見て 少しは気持ちが収まった気がする。

ちなみに エンタイトルツーベースという言い方は日本独特な言い方で 本場 アメリカでは グランドルールダブルという。

タイガースは 期待を裏切り だらしない試合もするが 簡単に2連敗するチームでもない。楽天のファンの方には申し訳ないが今の楽天に連敗するほど弱くない。交流戦最後の試合は 気持ち良く 終わらせて欲しいものだ。