エースが投げる試合

試合展開には色んな形がある。競り合いやシーソーゲーム、一方的な試合に投手戦、乱打戦に我慢比べ、形としては数限りない。

中でも強いチームとは やはり 競り合いに強いチームだろう。まして、エース格が競り合いや我慢比べに強かったら言うことはない。

5試合連続10奪三振のセリーグ新記録を樹立しながら この間 1勝2敗、全体では 5勝5敗 防御率 4.12とエースとしては イマイチだ。しかも、今シーズンは 特に競り合いに 弱い印象がある。

13日のロッテ戦に競り勝ち、良いムードで西武戦を迎えたのに これで また 仕切り直しになってしまった。もちろん、能見 ひとりが悪いわけではない。
普通、エースが投げる時は 自然と「負けられない」という気持ちが野手陣に芽生える。また、ベンチ内も含め チーム全体に 負けられない空気が流れ いつも以上に モチベーションが上がるものだ。

しかし、見ている限りでは 野手陣も淡々と試合をしている様に見受けられる。そもそも、エースが登板する時に 専門のポジションではない選手を守らす事は考え難い。いくら、相手投手が左だからと言って 外野の守備練習もそんなにしていない新井良太を先発で起用する事は理解に苦しむ。

確かに新井良は 先日のロッテ戦では 松永から見事なタイムリーを放ったが その流れを大事にしたいならあくまでサードで起用すべきだ。新井貴か新井良のどちらかの選択にはなるのはわかるが、ライトで起用する選択は あまりにも安易だ。

たとえば、流れを変えたいとか 打ち合いが予想されるとかの試合の場合は例外である。場合によっては 新井兄弟の起用はあるだろう。 しかし昨日のように エースが登板する時、相手投手も菊池雄星で投手戦が予想される展開の中での、ライト新井良は考えにくい。

こういう事が ベンチの雰囲気が盛り上がらない理由なのではないかと思うのだ。昨日の試合で 新井良が 何かミスをしたわけではない。しかし、先発オーダーの中に 「エースが投げるんだ」という意識が弱く これが 淡々と試合をしている様に見えさせる原因にもなっていると思う。

エースが投げる時は「打って勝つ」ことより「守って勝つ」ことを優先させるオーダーを組む事が 監督から選手へのメッセージになり チームの士気を高めるものになると思う。

ただし、能見が「エース」ならば、の話である。私の中では 能見はエースなのだが チーム内の評価が もし エースでないのならまた 話は別だ。いずれにせよ 士気や覇気が感じられない試合になってしまった事は事実で残念なことである。

ロッテ戦で勢いが付いたのでは、と期待をさせただけに落胆は大きい。そんな試合であった。