昨夜の試合は 藤浪がスライド登板した。

スライド登板を苦手にする投手は多い。先発投手には それぞれルーティンがあり 中5日だろうが 中6日だろうが ほとんどの投手は 登板前日「ノースロー」になる。

軽いキャッチボールをする投手もいるが まったく ボールに触らない投手も少なくない。従って自分の登板日が 雨天中止となり スライド登板という事になれば 登板予定日の前日から雨天中止日と2日間「ノースロー」になる。

この2日間の「ノースロー」が 必要以上に肩を軽くしたり 指先にボールが掛からなくしたりと 悪い影響を及ぼす。ただ、投手も十人十色だ。まったく 気にならないという投手もいる。中には経験を重ねて スライド登板の弊害を克服している投手もいるだろう。

昨夜の藤浪は プロ入り初のスライド登板であった。しかも、前回の登板の内容は悪く 「2軍落ちも」という声も上がっていただけに心配していたが それは杞憂に終わった。

腕が非常によく振れていた。それに伴い ボールも速く キレがあった。時々、いつもの悪いクセが顔を出していたが全体的には 球威もあり 今年一番の内容だった。

しかし、これで大丈夫だと 「お墨付き」を与えるには まだ早計だ。セットポジションでの投球に課題が残っている。

昨夜も6回表 2死から 荻野に2塁打を打たれ 鈴木・井口と迎えた時 セットポジションの投球に課題が見えた。

この場面はランナーを2塁に置いての投球で 「クイック」をすることが無いので まだ良かったが 仮に足の速いランナーを1塁に置いて、「クイック」投法をした時、バランスを崩しそうなのだ。まだ、そうした危なっかしさが 垣間見える。

7回表、クルーズに死球を与えたように ボールが右打者方向に抜けてしまうメカニズムこそが 藤浪の欠点であり それを克服しなくては 藤浪は 長くプロ野球選手で台頭することは出来ない。ここで言うメカニズムの問題とはリリースポイントが左肩と右肩を結んだラインよりも後ろになってしまうことが原因なのである。

若く、球威があるうちは良いが このままなら 短命なプロ野球選手になってしまう。まだ時間は十分にある。なにも私は 今すぐに修正しなさい、と言っているわけではない。あと3・4年掛かってでも 修正できれば 大丈夫だ、と言っているのだ。このままなら 26・7歳ぐらいで 投手としては終えてしまうだろう、と。

プロ野球 78年の歴史の中で 大成した右投手に ボールが右打者方向に抜ける投手は存在していない。短期間 活躍した投手は存在していても、長期に渡って 活躍した投手はいないのだ。

繰り返しになるが、時間は まだある。若いうちに そして球威があるうちに 修正して欲しいと願っている。