川上憲伸が腰痛の為、急遽、登板した高校卒 2年目の投手に 初先発 初完投 初完封を許した。

タイガースの初物に対する弱さをモロに出してしまった格好になる。しかし 相手投手の浜田は 今までも1軍登録されている選手なのだ。試合の途中でリリーフとして登板する可能性はあったわけで 彼に対するミーティングは 少なからず 以前から行われていたハズだ。

そういう訳で「初物」として扱うのも いささか 疑問はあるが 初対決の選手も多く タイミングを計るのに戸惑った選手も見受けられた。

何事にも「傾向」と「対策」は 非常に大切である。しかし、そればっかりに頼ると技術的進歩が遅れる。技術的進歩とは ストレートを打つタイミングで始動して 変化球が来たら 待つ・ためる・呼び込む といった動作をして変化球に対応する打ち方である。

これがオーソドックスな打ち方で この能力が高ければ高い程 優れた打者である。どうしてもこの打法で 打てない時に 初めて「狙い球を絞る」という作業に入る。

だから、しばしば野球解説者が「狙い球が 絞れていませんね」なんて言っているが そもそも 打者が狙い球を絞って打っている事は決して多くない。

つまり、どんなタイプの投手も狙い球を絞って打つのではなく、オーソドックスな打ち方の能力を高めないと 初対決の投手には弱くなるということだ。

例えば 必然的に初物との対戦が多くなる高校野球やWBCなどの大会では 「狙い球を絞って打つ」という打法の得意なタイプは 活躍できない。

このような大会では ストレートのタイミングで始動し、変化球に対応するという打法の得意な選手が活躍できるのだ。

従って、タイガースの選手は WBCとか ましてや メジャーに挑戦しても 活躍できない。

優れた打者とは このオーソドックスな打ち方が優れた打者で 狙い球を絞るのが優れた打者ではない。

であるから、アマチュアの打者もプロの打者も このオーソドックスな打ち方の技術を高めることが努力目標になる。この技術を高める為に 毎日 バッティング練習や素振りをするわけで 狙い球を絞って打つ為に バッティング練習や素振りをしているわけではない。そしてそのことをタイガースの選手には認識して欲しい。

今のプロ野球界は 野村克也さんの影響で データ分析を重視し、傾向と対策により 何でもかんでも 狙い球を絞ることを重要視している。 しかし、それはあくまで オーソドックスな打ち方あっての話なのだ。 その意味をはき違えると タイガースのように 初物に弱くなってしまうのだ。

ただ、だからと言って 「狙い球を絞るな」と言っているわけではない。プロの世界だ。狙い球を絞らないと打てない投手は存在する。

しかし、基本的にはストレートのタイミングで始動し 変化球が来たら ためる・待つ・呼び込む、という動作をして対応する技術を高めないとダメだ、と言っているのだ。

間違った努力は ただの体力の消耗であり 自己満足だ。正しい努力をして 初めて 努力と言えよう。若トラ達には 正しい努力をして欲しいと切に思った試合だった。