勝負とはあくまで「勝ち」「負け」であり、それを左右する好不調にも波がある。勝ち運がある時は 何をやっても上手くいく。調子が良い時は バットを振れば 全部 ヒットになるんじゃないかと思う時もある。

チームに勝ち運があり しかも 選手の調子が良ければ 指導者は何もしなくてもいい。時には 自分の采配や選手起用の失敗を選手がカバーすることさえある。

しかし、その反対方向へチームや選手が陥った時 指揮官の一つの采配や選手起用が勝負に直結してしまう。

今年のタイガースの試合内容が 「もの凄く強く見える時」と「野球を知ってんのか?」と思える時があるのは そのせいだ。もの凄く強く見える時は 勝ち運と選手の好調が重なり、野球を知ってんのか、と思える時は タイガースが抱える弱点をモロに露呈してしまう。

昨夜の試合 6回 表 1死 1塁、 2-0と圧倒的に打者有利カウントで 指揮官がエンドランを出してしまう。ここでの指揮官の考えは スコアリングポジションにランナーを進めたいということだろう。同時にダブルプレーも避けたい。カウントが有利になったので 安全策を取って 、リスクヘッジを考え エンドランのサインを出した、というところだろう。

そこに試合の流れや木谷の調子、或いはヤクルトの中継ぎ陣の層の薄さ、なんて事は 優先順位の下で まず スコアリングへ 、そして、ダブルプレー防止という考えが優先順位の最上位だったと思う。

これは指揮官として大切な「洞察力」「観察力」「判断力」「決断力」を欠いた作戦である。

物事には 「手段」と「目的」がある。バントとかエンドランとかスクイズとかいう作戦は「手段」である。「目的」は得点することである。バントを決める事やスコアリングにランナーを進めるという 「手段」が 「目的」になってしまっているのだ。

得点する為に どんな手段を取るのか つまり、「得点をする」という観点から逆算の発想を求められる場面なのに スコアリングへという手段自体を目的に変えてしまうから チームに勢いや良い流れが来ない。実に 残念な作戦であった。

実際、エンドラン時の投球は 見逃していれば「ボール」で 3-0というカウントになった。ボール球を振ったあげく、1アウトも相手チームに与えてしまえば 「運」や「流れ」が自軍のチームには来ないのは当然である。

今、タイガースの打線では 大和、マートン、福留、鶴岡が調子を落としている。4人も調子を落としていれば 打線が繋がらないのは当たり前で これを どう繋げるか、が指揮官の腕の見せ所、となる。

指揮官と言えど 人間である。すべての作戦がベストチョイスとは いかないだろう。しかし、ファンの皆さんが見ても 我々が見ても 「今日の試合は 采配で勝った」という試合が多ければ多いほど 優れた指揮官という事だろう。今日の試合、そんな采配を期待している。

さて、上本のケガが気になる。軽症なら良いが 万が一 骨折ともなれば大変なことだ。本人も大変なことだがチームにとっても一大事だ。

ここまで リードオフマンとして 西岡以上に活躍したようにも思える。打球を右の親指に当てた次の回に 1塁へ送球しているので大事には至らないと思うのだが とても 心配である。

彼が 戦列を離れるのか否か、大違いである。元気な姿を見せて欲しいと祈るばかりだ。加えて、9連戦の始まりが昨夜の試合みたいな内容だっただけに 今夜の試合が とても 重要である。

悪い流れを断ち切れるか、それとも 昨夜の負けがキッカケとなり 昨年のように ズルズル行くのか、タイガースにとって「我慢のしどころ」だろう。是非とも 悪い流れを断ち切って欲しいものだ。