「劇的な幕切れ」
こんな新聞の見出しもあるが サヨナラ勝ちが全て 「劇的」とは限らない。ミスが多く 「やれやれ」という思いのサヨナラ勝ちもある。

バントという作戦が良いかどうかはともかく、和田監督は多用する。

多用するのだから 成功率を上げていかないと いつでも バント失敗が チームの勢いや良い流れを止めてしまうことになる。
バントは仮に成功しても 相手に ワンアウトを提供してしまう作戦なので 場面によっては 自軍の勢いも止めてしまいかねない作戦だ。

ましてやその作戦が失敗してしまえば尚更だ。振り返ってみればこの3連戦 バントの失敗ばかりである。唯一、決まった歳内のバントも 相手の守備が普通に対処していれば2塁に投げられ 成功していなかった。

思えば、2月の沖縄キャンプの段階で バント練習中に緊張感は無かった。和気あいあい、楽しそうに練習していた。それを注意するコーチもいなかった。毎日、毎日、しかめっ面で練習しろとは言わない。しかし、バントを多用する監督の下、これで大丈夫か、という不安はあった。

結果には 必ず 原因がある。この3連戦のバントの失敗は メンタルが原因ではなく 技術的に未熟だから失敗しているのだ。緊張する場面、メンタル面が原因で失敗する事はある。しかし、メンタルで失敗しているのか、技術的に失敗しているのかは見ていれば分かる。

タイガースの多くの選手のバント失敗は 技術的な失敗ばかりだ。つまり、練習不足や練習方法が間違っている事による失敗なのだ。これはプロとして 寂しい限りである。バントという作戦に関わる全てに選手達は もう一度 練習スタイルを見直して欲しい。それがチームの勝利に直結する。

さて、昨夜の試合 6回裏 5対5 に追いつき 0死 1・3塁 と押せ押せの展開だった。代打 新井貴の打席だ。
まず捕手がはじいたボールに サードランナーの新井良がホームへ突っ込み 本塁憤死。1死 2塁となり、新井貴のショートゴロの時 今度は セカンドランナーの鶴岡が守備妨害でアウト。
2死 1塁となり再開、今度は 一塁ランナーの新井貴が これまた 捕手のファンブルを見て セカンドへ行くのだが これまた セカンドでタッチアウト。0死 1・3塁のランナーが次々にアウトになってしまうのだ。少年野球でも 起こらない事が プロ野球の世界で起こってしまうのだ。

今まで 色んな「お粗末」なプレーを見てきたが こんなプレーは初めてだ。

走塁の基本は 「積極的に 次の塁を狙う」だ。

ただ、こんな時は やめましょう、という条件が付けられてる。「積極的に 次の塁を狙う」なんて 誰にでも言えるし、ただただ、積極的にプレーするだけでは 高校野球のレベルなのだ。

プロ野球のレベルになれば、 「こんな時は」が重要である。イニングやアウトカウント、得点差や相手チームのブルペンで待機している投手、自軍の打者などのシチュエーションを頭に入れ 積極的に行くか自重するか判断するのだ。

また、それに応じて緻密な約束ごとがあればあるほど レベルの高い野球になっていく。つまり、チームの野球のレベルは走塁の「こんな時は」で 決まるのだと言っても過言ではない。

ただ、「出来ない」と「知らない」は違う。分かっているが出来ないのか 知らないから出来ないのかでは 大違いだ。彼らが どちらであるか分からないが しっかりとした指導が必要だという事は ハッキリ分かる。

ところで 「代役」ということは 主役が戻ってきたら どうなるのだろう。上本は 主役以上の活躍をし 年俸も 約20分の1、しかも、生え抜きの選手会長だ。どちらかをサードにコンバートする事も考えられるが新井良の事も考えれば 頭の痛い話である。

ライトのポジションもしかり、田上や俊介が代役として充分に活躍している。しかし、時価評価は 主役以上の活躍だが 違うのは 過去の実績。実績は 信用に繋がる。

結果を出している若虎を信じるのか 実績のある選手を信じるのか、大きな決断が 夏までには来るだろう。指揮官が この判断をどうするのかも 非常に 興味がある。今はただ、指揮官を もっと 悩ませる活躍をして欲しいと願うばかりだ。