ブログ読者みなさんの中に 始球式で投げたことのある方は いらっしゃるだろうか? 実は私は一度もない。昨日のナゴヤドームの試合の始球式は 「さだこ」と「子さだこ」だった。そういえば、先日、秋田でのゲームでは 「壇蜜」が始球式を行っていた。野球界も変わったものだ。

昭和の話だが、私が明治大学野球部の頃、当時の監督に島岡吉郎という人がいた。私の恩師なのだが その教えの中に 「グランドには 神様がいる」があり、試合で負けた日はグランドに全員正座をさせ「グランドの神様、すみませんでした」と額を土に付けて謝ったものだ。

そんな厳粛なグランドだけに当時、女性は入れなかった。いわゆる 女人禁制のグランドである。しかし、時々、それを知らない女性記者がグランドに入ってしまう。それを見た島岡監督は「ええぃ、バカヤロ! 何で 女をグランドに入れるんだ」とマネージャーを怒鳴っていたのを思い出す。

冒頭に書いた「さだこ」や「壇蜜」も女性だ。島岡監督が生きておられたら どう思われたのか、気になるところだ。まして、壇蜜はマウンド上でユニフォームを脱ぎ スクール水着姿になるというから 唖然とする。(私は 壇蜜は嫌いではない)

変革するという事と伝統を守るということ、どちらも大事だが 変革の方を進めすぎるとひとつ間違えれば 100年以上も続く野球の伝統が軽くなるという弊害が起こり得る。ここは 慎重な見極めや判断が必要だ。

ちなみに 日本初の始球式は 1908年に大隈重信氏がつとめた。ご存知のとおり 大隈重信氏は早稲田大学の創設者でもあり初代総長でもある。のちに 内閣総理大臣まで歴任された人物だ。さすがの大隈重信氏も 「さだこ」や「壇蜜」には びっくりだろう。

さて、昨日の試合だが タイガースファンにとっては さぞかし 爽快な試合だっただろう。8回までの不甲斐ない戦いを帳消しにする攻撃だった。もちろん、相手のミスに乗じてなのだが勝ち方としては最高だった。

しかし、あの中日が ここまで 落ちてしまうのか。改めて「組織」とは何かを考えてしまう。9回の新井良のセカンドゴロに対して あんなにゆっくりプレーする2塁手を見るとチームとして目標を失っているように写る。

中日の現状は「反面教師」としてタイガースも 良い教訓にするべきだ。
何はともあれ、よく勝てた。これもまた、藤浪マジックなのだろうか。しかし、勝つには勝ったが、昨日の藤浪は良くなかった。一番悪かったのはコントロールだ。何しろ ボール先行になる事が多く 打者26人に対し ボール先行カウントが16回もあった。

先頭打者も6イニング投げて 4回も出している。四球も4つと カウントを整えるのに四苦八苦していた。だが、こうして打者有利のカウントで勝負しているのにもかかわらず1失点で抑えるのは並大抵の投手ではない。

感心したのは5回裏、1死 2・3塁 森野を迎えて カウント 3-1となった5球目のボールである。アウトローにツーシームが見事に決まった。並の投手ならコースが甘くなるところだ。この投手は ピンチになればなるほど甘い球が来ない。ギリギリいっぱいのストライクになるかボール球になるか、絶対に甘くならない。つまり、どんなに不利なカウントでもストライクを欲しがらないのだ。

そんは彼を見て 並大抵の投手ではない事を改めて感じた。昨日の試合ようにボール先行カウントになるのは ストライクを取るのに四苦八苦しているのではなく ストライクを欲しがらないからボール先行カウントになるのだ。この違いは 大きい。運や何かを持っているのだろうが それ以上に 投手としての才能に溢れている。

今日の試合も 「流れ」「勢い」「運」を大切に 戦って欲しい。