昨日の試合でまず言いたいのはヤクルト先発の木谷は 今シーズン 1勝1敗 防御率 4.73 プロ入り 初先発であるということだ。

それまでリリーフしか経験していない投手が 先発に回ったとき 対戦相手のバッティングコーチは 野手ミーティングで たいがい、
「長いイニングは投げられない。最初から飛ばしてくるぞ」
「積極的に打っていこう」
と選手たちに注意を促す。

実際、関川コーチも そのような事を選手たちに話していたようだ。だが、相手の立場、つまりヤクルト側から考えると 長いイニングを投げられない投手をわざわざ先発させない。
いくら 戦力不足のヤクルトとはいえ、先発としての適性がない投手を先発させるハズはないのだ。相手の立場になって考える、戦略・戦術を考える上で もっとも 需要なことだ。

そしてプロ入り2年目の木谷がやれる事と言えば 相川のミットをめがけて投げるしかない。相川の出すサインの意図を踏まえ、勝負に行くところと 外すところを考えてひたすら投げるしかない。

となれば、タイガース打線が考えるべき戦略・戦術は 相川の研究になる。
人間、「無くて七癖あって四十八癖」、必ず、癖や傾向がある。
相川にも 当然 癖や傾向が出てくる。それを スコアラーから貰ったデータから割り出していくのだ。

しかし、個別に責められ方は違うだろう。したがって、貰うデータもそれぞれ異なる。そこから自分でデータ分析をして対策を練らなければならないのだ。

こういうことを怠れば、オーソドックスに「ストレートのタイミングに合わせて変化球に対応する」 という打法しかない。
又は 「ヤマカン」だ。
根拠のある狙い球の絞り方ではなく、ただ単純に「カン」で打つのだ。

この「カン」というのは 時には ここ一番で大きなインスピレーションとなる事はあるのだが 通常は 確率の高い、根拠のある狙い球の絞り方をしなくてはならない。

これぐらいの事は プロならば当然やるべき行為である。

ところがである。 今だにタイガース打線は「ストレートのタイミングに合わせて変化球に対応する」という打法一辺倒なのだ。

広島のマエケンと、昨日の木谷の違いは 捕手のサインに首を振るか振らないかの違いである。マエケンは捕手のサインに首を振る。となれば、首を振った時の球種に違いが出てくる。つまり、何に首を振って何を投げたかったか、を考えれば マエケンの癖が分かるのだ。

実は 投手が首を振ってから何を投げたかったか、という項目はスコアラーのデータにはない。だから、選手個人が自らデータを取るか、スコアラーの人に個人的にお願いするしかない。個人的にデータを取るという作業は興味がない人にとっては ただただ面倒な作業ということになり、こういうことに関心がある選手しかしない。

スタンリッジがベンチの中でノートに何か書いているが、それは彼が必要と思うから書くわけで、こういうことを必要と思わせるのがコーチの仕事である。

チーム改革とは まず 意識改革から始めなくてはならない。好投手を打つのに、或いは、調子の良い投手を打つのに 自分はどう変化すれば良いのか、よく考える事だ。それができる為には その方法や手段を知っていなければならない。知識として 変化の方法や手段を知っていなければ 変化のしようがない。

和田監督は知っている。野村監督の下で一緒に学んだ。和田監督のデータ分析は長けている。監督の仕事の一つとしてコーチの教育もある。自分の持っている知識をコーチに伝える事も監督として大事な仕事である。

木谷を打てないタイガース打線を見て「なんで、和田監督は言わないのか」不思議に思ってしまう。もちろん、コーチに気を使うところもあるだろう。しかし、打線が機能しなくて一番 批判を受けるのは 他ならぬ和田監督なのだ。

年上のコーチもいるが 遠慮なくコーチを叱咤して欲しい。組織を正しく機能させるのに、年齢などは関係ない。時に選手にもコーチにも叱咤する事が 奇跡への道に繋がると思う。ある意味、これからの勝負が 和田豊の真価が問われる事になるだろう。



さて、誠に勝手ながら明日より、しばらく夏休みを取らせていただきます。
次回更新は22日の予定です。
それまでにタイガース奇跡の躍進を期待しましょう。