「負けに不思議の負けなし」、野村克也さんが よく使う言葉だが 私も たびたび 使わせて頂く。

昨夜の試合は まさしく 「負けに不思議の負けなし」だった。

先発の藤浪も打たれたが攻撃陣も不甲斐なかった。ただ、打てない時もある。打てる打てないは人間がやる事だから好不調の波があるだろう。しかし、野球が未熟なのと好不調は関係がない。

9回表 4-6 2点差の場面。先頭打者の伊藤が四球で塁に出た。ここで2点差という場面をベンチも伊藤も理解出来てない。この場面、盗塁は あり得ない。

赤星憲広クラスの脚力でも盗塁は自重する。なぜか?それは、2点差だからだ。自分が2塁に行く事より 自分がアウトにならない事、もう一人ランナーを出す事を最優先にする場面だ。

1点差ならわかる。伊藤の盗塁死は野球というスポーツをよく理解していない証拠である。しかし、伊藤が勝手に盗塁するハズがない。ベンチのサインか伊藤のサインミスだ。

もし、これがベンチのサインならばこのスタッフでは 人材を育成する事は難しいだろう。細かい野球の意味を履き違えている。

サインミスならばあんな大事な場面でサインを間違えては 昔なら 即 2軍行きだ。

私が言いたいのは ベンチのサインにしろ 伊藤のサインミスにしろ どちらにしても野球が未熟という事だ。

いずれにしても、大学を卒業してプロ入り2年目の選手が簡単な盗塁のサインをミスしてしまうとは 誰が指導しているんだ?という事になる。

いつも言っているが 「積極的に次の塁を狙いましょう」は 誰にでも言える。でも、「こんな時は自重しましょう」は 野球をよく知ってないと言えない。

どんな時に積極的に走塁し、どんな時に自重するか、その違いを説明するには やはり 野球を知っていないと出来ないのだ。

積極的な走塁は高校生でも出来る。しかし野球を知っている走塁は高校生では なかなか出来ない。

是非、タイガースの選手にも 野球を知っている走塁をして欲しいと切に願う。

さて、藤浪の話だが これで ようやく ヘコんでくれるだろう。高校野球では、春夏連覇、プロ入り後も高校卒ルーキーとしては素晴らしい活躍だった。

人間の成長に挫折は付きものだ。
しかし、今の藤浪は まだ 挫折と言えるほどのものではない。もっとヘコんで欲しい。そして、それをバネに成長して欲しい。失敗と成功を繰り返し どんどん プロ野球選手として大きくなって欲しい。

まずは、限界を知る事。高校時代の自分では、まだまだ、プロでコンスタントには通用しない。ただ、時々は勝てるだろう。だが、それでは 藤浪自身も満足しないだろうし、時々勝つのでは球界を代表するエースにはなれない。

限界を知り 己を知り 大きく成長して欲しい。我々は 温かい目で、また、長い目で彼を見守っていこう。