シーズン144試合もあれば、優勝するチームでも65試合前後は負ける日もある。

連勝すれば、連敗もする。負け方に、良い悪いはないのだが、ただ昨日は勝ち負け以前に勿体ないと感じる試合だった。

まず2回表中田翔のホームラン。初球から不用意にストレートで入ってしまった。更に8回、同じく中田の最終打席では0ボール2ストライクと追い込んでから真ん中高めのストレートを被弾した。

どちらも防げたホームランだったと思う。特に2本目に関してはスライダー、カーブで追い込んでからの甘いストレートである。

この日のメッセンジャーの調子を見れば、ストレート以外の選択であればなんでも良かったと思えた場面だ。時に、浅く挟んだスブリットはキレていただけにあまりにも残念な配球だった。

しかし、それにしても、中田を見ていてつくづく和製スラッガーを育成するということは実に魅力的だなと感じた。あの2回のホームランは甘かったとはいえ、今の日本人でメッセンジャーの速球をライトスタンドに運べる選手が他にいるだろうか?

8回の本塁打は、甘かったにせよ力負けしなかった。しかも詰まっていた。どん詰まりである。

残念だがこういう大砲はタイガースにはいない。中田はまだ24歳だ。これからもぐんぐん伸びるであろう。他球団の選手だが、こういう選手がいるということは本当に羨ましい限りだ。

一方、昨日は木佐貫の攻略にも手を焼いた。スローの再生を見ていると、木佐貫のフォークボールは回転数が多い。

先日佐々木主浩がフォークにあえて回転をつけて打者を惑わせたという話をしたところだが、木佐貫のフォークはそれを思い起こさせる。

更に言うと、木佐貫はストレートに関してもツーシームなのかシュート回転で若干落ちてくる。こうなると、シュート気味に落ちてくるストレートと回転のあるフォークの見極めはそうとう困難だ。

何度か、ワンバウンドを振るシーンが見られたが、それもそのはずだ。これは低い軌道から落ちているから打てないのではなく、キレが良いから空振りするのでもなく、ストレートとフォークボールが見極められないから打てないのだ。

実に見事に抑えられてしまった訳だが、こういう場合はさっぱりと負ける日もあると割り切って、次の試合を切り替えて迎えるのが一番ではないかと思う。