和田監督は試合後、取り囲む取材陣に対し「ゼロじゃ勝てないわ」と言ったそうだが確かにゼロでは勝てない。

私の師でもある野村克也さんは「ゼロで抑えれば負けない」が口癖だった。相手よりも多くの点を取るオフェンスを重視した野球を目指すか、ピッチャーを中心としたディフェンスを重視した野球を目指すかは監督の考え方次第である。正しい、正しくない、ではないのだが私はどちらかといえば野村さんのディフェンス野球を支持したい。

そのあたりを踏まえて昨日の試合を振り返ってみよう。もしディフェンス面を重視するならば、8回表の守備体系は、1塁・新井貴浩、3塁・新井良太にはならないハズである。タイガースの中継ぎ投手の質から言うと調子の悪い中日打線をゼロで抑える可能性も高かった。つまり、最低、引き分けられた、少なくとも負けなかったという事だ。

「あそこは、勝負だった」と7回に代打・新井貴浩を送った場面を和田監督は振り返ったが、 勝負には当然のことながら勝ちと負けが存在する。勝ちに行った結果、負けてしまった、という事だがそんなにギャンブルをかけるところだったのか?と思ってしまうのだ。0死、1死ならまだしも、2死なのだ。エラーをした新井良太に責任を課す問題ではないと思うのだ。

さて、開幕6試合を終えただけでタイガースは「非常事態」に陥ってしまった。2勝4敗という成績をさして言っている訳ではない。コンラッドに代えて新井貴浩を送ってしまった、という事が重大なのだ。

この先、新井貴浩をスターティングオーダーに入れてラインアップを再編成するであろう。平たく言えば、これは開幕6試合でオーダーを替えてしまうという非常事態なのだ。もちろん、オーダーを替えるというのはあくまで私の想像だが、そうならないことを祈りたい。