タイガースの全日程が終了した。
残り 数試合は 金本の引退 一色だったが、昨夜で すべて 終わった。
記録にも記憶にも残る選手の引退である。

ここで、若トラに忠告したい事がある。
「金本の練習姿勢」や「金本の野球に取り込む姿勢」を見習え、なんていう 綺麗事を言うつもりは、さらさらない。

若トラにアドバイスしたいのは このような引退試合を出来る選手になる事を目標に頑張れ!と いう事だ。

プレースタイルや野球に取り込む形には個人差がある。
しかし、あんなに沢山のファンの方から 温かい声援を受け 引退試合を出来るのは 野球人として最高の終わり方である。

「ありがとう」という言葉に 「ありがとう」と答える。

素晴らしい野球選手の 素晴らしい終わり方だった。

若トラよ、昨夜の試合を目に焼きつけ、金本のような引退試合を出来る選手になって欲しい。

金本、ご苦労さん。

2008年、巨人に大逆転され 優勝を逃し 打撃コーチとして責任を取って辞表を出した翌日、金本から電話を貰った。
第一声が
「ヒロさん、すみませんでした。」
だった。
「カネに あやまって貰う事は 何一つもないよ」
「逆に、お礼を言いたいくらいだ」
と言ったのだが 終始 申し訳なく話していた。
4番打者として責任感が強く 彼なりに責任を感じていたのだ。
その電話が私を救ってくれた。

惨敗を すべて 打撃陣の責任にするマスコミ報道があり その長である私に対する風当たりも強かった。

それはそれで 受け止めていたが 岡田監督を擁護し 私をA級戦犯に書き立てる記事もあって、 私も少し、落ち込んでいた。
しかし、金本の言葉に、責任を取らなくてはならない私が 責任を取る事は当然で、逆に選手に責任を感じさせてしまった事で、自分の愚かさに気付いたのだ。

あの電話を貰ってから 何か吹っ切れた感じがあり、前向きに色んな事を受け入れ、又、謙虚に考えられたのは 金本のお陰だ。

又、気を遣ってくれた事が、何より、嬉しかった。


これから 金本がどんな道に進むか 分からないが 彼なら、何をしても 大丈夫だろう。

たぶん、タイガースは 低迷期を迎える。
あくまでも 私の予想だが しばらく 続くと思う。
そんな時、この窮地を救う指導者が、必要になる。

金本や矢野が タイガースを救えるハズだ。
それまで 色んな勉強をして その時を迎えて欲しい。

1985年以来 日本一がない。
2005年の日本シリーズ 4連敗の屈辱は まだ 晴らされていない。


「“タイガース 日本一”」
の 大段幕が関西の空になびく日が待ち遠しい。





(野球評論家)
広澤克実