プロ野球界にとって、この時期は 優勝やCS争い(セリーグは確定)が佳境に入ったり、引退をする選手のセレモニーがあったりと、盛り上がったり、寂しくなったり、目が離せない。

ただ、セレモニーが出来る選手は 幸せものである。ファンの皆さんが温かく見送ってくれる。
又、来年からの仕事も心配ないだろう。

だが、1軍の舞台を経験した事がない選手や、それ程、活躍出来なかった選手は大変である。
そして、これからが もっと 大変になる。
野球を諦めたくなくてトライアウトを受けたり、他の環境の所にチャレンジしたり、これからは想像する以上に大変である。
又、家族が居れば 尚更だ。
今まで、何億円と貰っていたわけではないから、蓄えたお金も そんなにはないだろう。
そして、こんな時代だから、 再就職先を見つけるのも容易ではない。
辞める事も人知れず、もしかすると プロ野球界に居た事すら知られずに引退する選手は たくさんいる。

私は、セレモニーをして貰っている選手には
「ご苦労さん」
とは 言いたいが 彼等を見て、少し、寂しいが、それほど感傷的にはならない。
しかし、人知れず辞めていく選手を見ると思わず熱いものが込み上げてくる。

今年も、タイガースや他の球団で 戦力外通告を受けた選手は、80名ぐらいだと思う。
胴上げをされて引退をする選手、ひとり ロッカーを片付ける選手。

せめて、私ぐらいは ロッカーを片付ける選手にエールを贈りたい。

彼等に
「頑張ってな!!」
と 声を掛けたい。

野球を続ける選手には
「最後まで諦めるな」
違う世界に行く人には
「今までの苦労は 絶対に 無駄にはならないよ」
と声を掛けたい。

彼等が 次の世界では 思いが報われるように、4番打者を打てるように祈っている。





(野球評論家)
広澤克実