クライマックスシリーズ進出を目標にすれば、どんな内容であれ勝ちたいタイガースの首脳陣にとっては、昨日の引き分けは 負けに等しい。

私が、昨日の試合で気になった点は、主力であるマートンと新井貴の欠場である。
まずは、マートン。
ここ数試合マルチヒットを打っていた。
単純に何故、スタメンから外したのか、分からない。
調子が悪い訳でもなく、ここ最近の活躍から疲労蓄積による休養というのも考えにくい。
高崎との相性か、何か致し方ない事情が あったのかもしれないが、外から見る限り、マートン自身が納得しているか心配である。

次に、新井貴。
こちらは、前日のサインミスがあり、どうしても懲罰的に考えてしまう。
この印象は、私に限らず、多くの人が そう思ったはずである。
サインミス後は、3安打しており、欠場する原因が考えられない。
新井貴本人も、そう感じたと思う。
どんな説明が本人になされたか分からないが、ここで、大切な事は、首脳陣との間でのコミュニケーションである。
コミュニケーションがとれているのであれば 良いのだが、もし、そうでなかったならば、と危惧する。
新井貴本人は、自分の成績不振に責任を感じていると思う。
チームに迷惑を掛けて申し訳ないと思っていると思う。
だから、成績不振で先発から外される事は、本人も納得するはず。
しかし、懲罰的な外し方は、新井貴本人の気持ちとプライドを傷つけるだろう。
そして、結果として、新井貴と首脳陣、ひいては その関係を見ている周りの選手達と首脳陣の信頼関係の崩壊にも繋がる可能性がある。
信頼関係の構築なくして強い組織は作れない。
どんな世界でも、それは一緒だと思う。
一般社会で言うと、上司と部下の関係だが、人間同士である。
それなりの配慮があって、初めて上司として尊敬される。

野球はチームスポーツだ。
チームスポーツである以上、チームワークやコミュニケーションは、チームとして結果を残す為に不可欠な要素である。

コミュニケーション能力が首脳陣に求められる。





(野球評論家)
広澤克実