良い試合で勝った翌日には、昨日のような凡戦。
5位に甘んじているチームの現状を象徴するような流れである。

まずは2回表のタイガースの攻撃。
1死1・2塁でバッターがスタンリッジ。
スタンリッジが空振り、新井貴が盗塁死の場面だ。

もちろん、サインミスだ。

私の記憶の中に、バッターが投手で このアウトカウントやランナーの状況で、バスターエンドランを見た記憶がない。
投手にバスターエンドランのサインを出す事はあり得ない。
理由は、空振りの可能性が高く、そもそも、例え、成功しても、2死、2・3塁の形になるので、もちろん、低い確率だがヒットもあるが、そのリスクを犯すよりも手堅くバントを選択し、2死、2・3塁にするのだ。
バスターは有る。
ただし、条件があり、守備側がバントシフトをしてきた時に限る。
新井貴が、このセオリーさえ、理解していれば、サインミスは犯さなかったと思う。
万が一、何かの間違え、見間違えで久慈コーチからサインが出されたとしたら、
「もう一度、出してくれ」
と要求すれば、間違いに気付くはずだ。
新井貴の年齢で、このようなミスをするのは残念である。
ただし、このようなセオリーを教えられない方にも問題はある。
この他にも、たくさんのセオリーがあるが、タイガースの選手がどれ程理解しているか疑問である。

「出来ないと知らないは違う」

今日の試合前のミーティングでは、“サインの徹底”を、選手達は注意されると思う。
いつもの事だが、問題が起こってからでは遅い。
つまらぬミスを起こさないよう、日頃から、徹底した確認作業が必要である。


又、和田監督の志向が明確に分かる場面があった。
6回表のタイガースの攻撃。1死満塁で2安打している大和に代えて代打に桧山を送った場面だ。

和田監督は、将来を担う若手を育成するよりも、とにかく勝ちたい、という気持ちが表れた場面だ。

タイガースを取り巻く環境を考えれば、和田監督の気持ちも分からないではない。
ただ、現状では、和田監督が勝ちにこだわれば こだわる程、勝てない 又、裏目に出る、という残念な結果になっている。


タイガースの残り試合は、42試合。
クライマックスシリーズに進出するには、大きな連勝を2回する位の成績を残さないと厳しいだろう。

果たして、今のチーム状態で、そこまでの成績を残せるだろうか?

私は、正直 厳しいと思っている。
目標設定をクライマックスシリーズ進出とした場合、なかなか有効な策が見当たらない、というのが本音だ。

先日のブログでも書いたが、今のタイガースは根本的な改革が必要なのである。
残り42試合。

クライマックスシリーズ進出に向けて、チームを建て直すには時間が足りないが、来期以降の先行投資と考えれば 十分な時間だと思う。

コップに半分入った水を見て、もう半分と思うのか、まだ半分と思うのか、という例え話ではないが、多いようで少ない、少ないようでも多い42試合である。

有効に使って欲しい。




(野球評論家)
広澤克実