2日続けての快勝である。
早い回に大量点を獲った事で、安心して見ていられた。
勿論、欲を言えば、3回以降に追加点が獲れれば、言うことナシではあるが、完勝と言って良いだろう。

昨日の初回、先頭打者のマートン、インコースの高めに浮いた球を、ほぼ完璧にボールを捕らえ、左中間スタンドに見事な先頭打者ホームラン。
チームに勢いを付けた。
あの球をセンター前にヒットを打つ事も出来る。
ライトへ詰まりながらヒットを打つ事も出来る。
よく解説者は、あの辺の球をセンター方向にヒットを打つと、
「素直にバットが出たので打てました」
と言っているが、では、あれは、素直にバットが出ていないんだろうか?
あの高め目に浮いたボールは、センターから逆方向なのだろうか?
これは、私が日頃から言っている事だが、理想のバッティングは、コースや球種によって、引っ張ったり流したり出来る事である。
あの高めのストレートをホームランにする事が、理想のバッティングという選手も居れば、センターから逆方向にヒットを打つ事が理想の選手も居る。
タイプが違うのだ。

先入観や固定観念が邪魔をして、正しく理解が出来ない。
そんな人間は、どんな世界にも居るが、広い視野で野球を見てファンの皆さんに解説する事が解説者の仕事のひとつである。
外角のフォークをライトに引っ張って打った金本、そして内角のカットボールをライトにホームランを打った平野のバッティングも引っ張った最高の形だった。

先日のブログでも指摘した通り、引っ張れない打者はこの世界では大成しない。
2000本以上のヒットを打っているバッターのヒットの打球方向がセンターから逆方向等というバッターは殆んど居ない。
一番多いヒットの打球方向は、引っ張ったヒットの選手が殆どである。
試合状況や投手攻略に応じたバッティングというテクニカルな面と、プロのバッターとして求められる本質的な能力を、履き違えてはならない。


ところで、昨日、気になる場面があった。
8回裏、2死1塁、バッターがピッチャーの安藤。
この時点では、タイガースが5対0であった。
安藤は、初球・2球目と立て続けにファウルしていた。
結果、三振であったが、仮にヒットになって出塁し、その後のマートンが3塁打等を打った場合、安藤は確実に走らされる事になる。更に、その後の平野が凡退でもしようものなら、そのままマウンドに向かわなければならない。

ここは、ベンチから打たずに次の回のピッチングに備えるよう、明確な指示が必要である。
これは、ベンチの大事な仕事である。
因みに、その時にベンチでは、その前に盗塁失敗した柴田を監督やヘッドコーチなど3人が囲んで注意していた。
柴田の注意は、試合終了後でも良いだろう。
3人でなくても良いだろう。
3人の中の誰かが指示をしなくてはならない場面だっだ。
たった一言でも、安藤にアドバイスを送っていたら、と思う。

昨日の試合では、その影響があったか無かったか分からないが、安藤が最終回に失点してしまった。

結果論ではないが、最悪の事態を想定して、それを未然に防ごうと細心の注意を払う事は、勝負の世界では絶対条件である。
8番打者と勝負して手痛い失点をした事も多々ある。
ベンチ指示。

大切なベンチの仕事である。
シーズン後半の重要な時期に手痛いベンチの指示ミスが無いように祈るだけだ。




(野球評論家)
広澤克実