まずは、打者として大成する条件は、インコースのストレートが打てるのか、どうかである。
それは、130㌔、135㌔、140㌔、145㌔、と条件を付けた時、何キロまで打てますか?
が、打者としてのレベルである。

130㌔なら高校生レベル、135㌔なら大学・社会人レベルとなる。

プロの1軍バッターとして大成する為の最低条件、それはインコースの140㌔のストレートを打って欲しい、という事だ。

今のタイガースの打者を考えた時に、上記のシンプルな問いに自信を持ってイエスと答えられる選手が何人いるだろうか。

石井でも誰でも、ピッチャーのインコースのストレートを、打ち返す事が出来なかったら、投手を攻略出来るハズがない。
とても、簡単な話である。

「完投」や「無四球」に興味がないピッチャーに、無四球完封である。
17年のプロ生活で初めてである。

石井の調子も良かったのであろうが、インコースのストレートに対応出来ないタイガース打線を相手に、石井が回を追う毎に腕が振れるようになってきた事は明らかだ。

そして、単に相手ピッチャーの出来だけではない、タイガース打線の真の実力が露呈してしまい、暗澹たる思いである。
つまり、気持ちでは、どうする事も出来ない実力の問題なのである。


よくビジネスの世界で、
「費用対効果」
という言葉を耳にするが、タイガースのチーム総年俸は、ジャイアンツの選手と然程、変わらないくらいに相当高いハズだ。

それは、実力に伴い年俸が決まるのだが、果たして、「費用対効果」に見合う選手が何人いるか疑問である。

以前から指摘している通り、現場だけではなく、編成や育成といった球団組織全体での抜本的な対応が必要な事態である事は間違いない。




(野球評論家)
広澤克実