不思議な事に、新井が試合に出るとタイムリー欠乏症だと言われ、ランナーが出ても返せない。
又、新井が試合に出ないとチャンスすらない。
勿論、藤岡が良かった事もあるが、不思議だなぁと思ってしまう。

昨日は、ロッテの拙攻に助けられた面もあるが、裏を返せば、タイガースの投手陣が踏ん張った、という事だろう。

やはり、野球というのは、つくづく「流れ」のスポーツだと思う。

昨日も、2回の藤井のホームラン以降、殆んどチャンスらしいチャンスが無かったタイガースに対して、ロッテは再三に渡ってチャンスを逸していた。
もし仮に、5回・6回・7回のチャンスにロッテにあと1本が出ていたら、負けていただろう。

野球には、見える力と見えない力がある。
打つ 守る 走る という目に見える有形なものと、勢い 流れ 運 不運など目に見えない無形なものがある。試合は 往々にして、無形なものが勝敗を左右する事がある。
いかに無形なものを大切にし又、それを生かせるかが勝利のカギとなる。
勿論、打つ 守る 走る、という有形の財産を練習で作り上げる事は、言うまでもない。
しかし、流れ 勢い 運 不運というものを察しれるという無形の財産が無ければ長いペナントレースを制する事は出来ない。
この有形、無形の財産を使って投球を組み立てたり、配球を読んだり、作戦を考えたり、選手起用したりするわけである。
そして、そこに投手心理 キャッチャー心理 打者心理といった、心理的要素が入り、気持ちの強い、弱い又 勝ちたい 打ちたい 抑えたいという感情が入る。
実に 奥が深い。
だから、野球は面白い。
相手の立場になって考えて見る。
色々な角度から野球の試合を見る。
実に 野球は 楽しい。



(野球評論家)
広澤克実