相手は、防御率1.62の攝津である。
今、ソフトバンクのエースである。
やはり、残念だが、今のタイガース打線では、攝津のようなエース格を打ち崩す事は難しいだろう。

安藤が良いピッチングをし、チーム全体も良い流れで、ここで攝津から勝利をもぎ取れば、更に勢いに乗れただけに、かえすがえすも残念だ。


タイガースのベンチは延長戦を、避けたかったのが本音だろう。
(コメントは、もう、1イニング行きたかった)
筒井・榎田・球児を使いきり、タイガースにとっては、武器を全部、出し尽くしてしまった。
(只、仮に10回に突入してたら、球児の続投はあったのだろうか。それを、考えると興味深い)
むしろ、昨日は9回に球児を登板させた時点で、
「延長戦は避ける」
「9回で引分けで良し」
という意図だろう。
3時間29分のタイミングで関本がマウンドに行った事は、ベンチの意図を読んでの事だろう。ルールだから、それを利用する事はベンチワークのひとつである。「勝ちに行く」という事より、「負けない」が大事になる事もある。
そして、ここが賛否の別れるところであり、又、和田監督の野球観が出るところでもある。
作戦面から、正直に言えない事もある。
しかし、自分の野球観は、批判されようが支持されようが、威風堂々と言って欲しいものだ。


ところで、昨日の8回1死2塁の本多のセンター前ヒットで多村がホームタッチアウトになった場面だが、柴田の好返球、藤井の好ブロックの場面。
野球には、色々な場面がある。たとえ好返球アウトの場面でも、GOの時もあるし、好返球アウトのタイミングはストップの時がある。要は、イニング・得点差・次打者・アウトカウント等の状況によるのだ。このケース、次打者・アウトカウントを考えると、絶対にストップである。
「アウトを怖がらず、積極的に前の塁を狙いましょう。」は、誰にでも言える。でも、「こんな時は、止まりましょう」は、なかなか言えない。

1年間という長丁場で結果を残せる、本当に強いチームになるとは、セオリーを正確に理解し、チームとしてビジョンを持つことである。

「人のフリ見て、我がフリ直せ」

昨日のソフトバンクの判断ミスを他人事としない事が、タイガースのチーム力の向上には必要である。




(野球評論家)
広澤克実