私が、タイガースのバッティングコーチだった頃、
「鳥谷のバッティングを、単純に活かすのであれば、ショートでない方が良い。彼の肩や足を考えれば、ライトが望ましい。そうなれば、3割30本100打点もクリアし、現メジャーリーガーの福留以上になれる可能性がある。」
と、コメントした事がある。

只、その時は、
「ショートを誰にするんだ!」
「大和をショートにするなんて無責任だ」
「思い付きで言うな」
と、かなりのご批判を頂戴したものだ。

ところが、先日、とある大阪のテレビ番組で前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏が、
「ショート大和、サード鳥谷、ファースト新井の方が敵は怖い」
と、コメントしたそうだが、周囲の反応は「なるほどなぁ」と納得される方が多かったそうである。
落合氏のコメントの是非はともかく、私が思うのは、「なるほどなぁ」と思っている人の中で、どれくらいの人が、落合氏の真意を理解した上で「なるほどなぁ」と言っているか、だ。中には、落合氏の実績が素晴らしいから、という理由だけで「なるほどなぁ」と思っている人も少なからずいるのではないか、という事だ。

今の世の中全体の風潮として、権威や実績のある人が言うと、正しいとか正しくないとかを判断するのではなく、その人の過去の実績に納得してしまうところがあるように思う。「あの人が言うのだから」と言う具合にだ。

私が、言いたいのは、
「権威や実績に惑わされないで、しっかりと自分の考えを持とう」である。
これは、野球界だけでなく、今、日本で多くの問題を抱えている事に対してもである。
年金、医療、福祉、消費税、そして、原子力発電、といった問題にも、自分自身の考えをしっかりと持つ事が大切である。
沢山の情報が飛び交う中、自分の考えをきっちりと持つ事がとても大事な事だと思う。


すみません、すっかり、横道に逸れてしまいました。
因みに、私は、今のタイガースの戦力の中で、ブラゼルを欠かす事は出来ないと思う。だから、コンバートは出来ないが、もし、有能な外国人のサードが獲得出来るなら、ファースト新井は賛成である。



(野球評論家)
広澤克実