一昨日の引分けや昨日の金本のバットを折りながらのヒット等の具体的な話は元より、そもそもの対戦カードの巡り合わせも含めたトータルの視点で考えた時に、今のタイガースには、流れがある。
すなわち「勢い、運」という、目には見えない作用である。

選手、ひとりひとりの役割分担が上手く機能し、加えてツキもある訳だから、首位にいるのも頷ける。


ところで、今日は、地上波テレビでの野球中継について、一言、言いたい。

一昨日の1対1の最終回の場面での球児のサヨナラのピンチなど好例だが、まさにクライマックス、というところは中継されてない。

一昨日は、タイガースが桧山のヒットで追いつき、さぁ、これからだ、と思ったところで「サヨナラ」って。
昨日の試合も、3対1になり、勝利の瞬間を見ようか、と思ったところで「サヨナラ」。
2試合とも、2死満塁という、ハラハラした場面を放送していないんだ。あのシーンを見て勝利の余韻を味わうのと、結果だけを見て「ああ、引き分けか」「3対1で勝ったんだ」と思うか、は大きな違いがある。野球の面白さが半減してしまう。

勿論、テレビ局にも事情があるだろう。

只、それを分かった上で、敢えて言いたい!

「サヨナラ」じゃないよ!!

多くの野球中継が、19時開始だとすると、地上波テレビを見ている大半の野球ファンは、最初と最後を見れない事になる。
仮に、これがドラマだとすれば、最初と最後が見れないドラマを誰が見るのだろうか!
ましてや、野球は昔から筋書のないドラマと言われて来た事を考えれば、尚更だ!

プロ野球を盛り上げる為には、マスコミ、特に地上波テレビの協力が不可欠だが、このままでは、プロ野球は勿論、地上波テレビにとっても優良コンテンツを失う、正に共倒れになってしまう。

普通に考えて欲しい。
平日の夜に、有料で4万人のお客さんを毎日集められるコンテンツが、どれ程凄いかを。

この現状は、プロ野球界にとっても、ファンにとっても悲劇である。

プロ野球球団と地上波テレビの双方に、中継体制の見直しを切に訴えたい。両者にとって、価値のある事だと思うのだが。



(野球評論家)
広澤克実