こんにちは。
たまに、「ふと思いだす」ってことありませんか?
そういうのほんの一瞬だったりするけれど、
忘れちゃいけない気がする。
あくまで、気がするという感じだけど。
前にも書いたことがあるのですが、
ぼくはある時、「読みたくなる小説」というのがあります。
どうしてと言われると、答えることができなかったりします。
たまに思いだすことっていうのは、
「本当は自分にとって意味のあること」じゃないかと思うんです。
心の奥底にしまいこんであったのに、
ある日、それが「ふと」思い起こされる。
まるで「デジャブ」か、何かのように。
というわけで、ぼくが読みたくなった小説をご紹介します。
奥田英朗さん著、「イン・ザ・プール」です。
続編である「空中ブランコ」は直木賞を受賞していますが、
ぼくはこの「イン・ザ・プール」が一番好きです。
ありえないような精神科医と、そこを訪れる患者の物語。
深刻な病気のはずなのに、どこか笑ってしまう。
そんな彼らを癒す「伊良部」の活躍を描いたお話です。
「心の病」というのは、あまり一般的ではありません。
むしろ差別するもの、侮蔑するものとして認識されているでしょう。
話の通じない人を、「アスペ」と差別する書きこみなど。
おそらく精神科へ通う人に対する偏見もあることでしょう。
だからこそ、本当に病気にかかっている人ですら病気と認めないのです。
認めてしまえば、差別されてしまうから。
それも悲しいですね。
この作品では、現代でも起こりうるさまざまな精神障害をとりあげています。
こうした病気は薬を飲めば治る、というものではありません。
「依存症」と同じく一生つきあっていかなくてはならないものです。
そこに、とても根深い人間模様が詰まっています。
ここでは喜劇のように描いていますが、
差しひいても心に残るハートフルな作品に仕上がっています。
小説家にはもって生まれた性格みたいなものが反映されます。
それは自分が経験してきた体験によるところが大きいでしょう。
この小説家はこういう人なんだろうなぁ、と登場人物に重ねてしまうのです。
ぼくも先日、とても落ちこむようなことがありました。
それはもう小説の登場人物が受けるような衝撃でした。
だからでしょうか。
ぼくがこの小説のことを思いだしたのは。
心のどこかで、「伊良部」に診てもらいたかったのかもしれません。
そして、「えいやっ」とやっつけてほしかった。
そんなことを、ふと思いました。
たまに、じっくり小説などを読んでみてはいかがでしょうか。
あなたの心の「しこり」も落ちるかもしれません。
紹介した小説
「イン・ザ・プール」 奥田英朗