20240324【富士写ヶ岳★ルーツを探して】④ | 動的平衡

動的平衡

同情するならアメをくれ!

 

Go back or press ahead?

さらに勾配は急に。

喩えるなら“白い滑り台”。

しかもどこを踏んでももれなく膝までズボっとくる落とし穴付き。

〈進むべき理由〉は、経験的にこういう時はゴールが近い。

さらに70代、50代(ともに推定)の女性が到達している。

〈戻るべき理由〉は、そろそろいい時間。

山頂は5分後かもしれないが60分後かもしれない。

荒天で視界が遮られる可能性もなくはない。

太股が何度か攣っている。

さらに。

靴に雪が入り込み、爪先が痺れるように痛い。

凍傷にならないよね?

 

雨を避けて石川県まで来たのだが

雪がここまで深いとは全く想定外。

とりあえず“撤収”の螺子を外し前進。

 

この次のピークが偽物なら撤退と決めて進む。

 

16:42 @富士写ヶ岳山頂

もちろん無人。

【白山?】

 

山頂標識も埋没寸前。

もう少し積もると埋もれるだろ…。

 

爪先が冷凍肉のようになったきた。

腰を下ろして揉みほぐしたいのだが

座ると尻から50cmくらい嵌り

抜け出せなくなりそうなので諦める。

 

run away at top speed!

下りは速い。

ヒップソリは持ってないが斜面を滑りながら滑降する。

 

17:44 @中間地点

安全地帯まで戻って一安心。

 

18:00

遅いお昼ご飯。

 

韋駄天のように駆け抜けます。

 

18:35

ヘッドライト点灯。 

 

18:57 @赤い橋

この橋だけは明るいうちに通過したかった。

実はここは地元で有名な心霊スポット。

何年か前の夏。

金沢大学の某サークルの男女4、5人が

夜中の1時過ぎに肝試しにやってきた。

バイクで単独で来たA君以外は、2台の車に分乗して。

きゃっきゃ言いながら橋の上を行ったり来たり。

「何も起きないからつまらない!」と言いながらB子がスマホで周囲の様子を撮影。

20分後。

「早朝からネットカフェのバイトがあるから」と言ってA君が抜ける。

一人減るだけで心理的な恐怖は増す。

言葉で説明は出来ないが、誰しも不穏な空気を感じとっていた。

「けっきょく何にもなかったね」とか声を震わせながら

B子は車に乗り込み、スマホで撮影した動画を再生。

初めの内は、ダム湖に架かる赤い橋が仄暗く

それを取り巻くサークルの仲間が燥ぐ様子が繰り返されるだけ。

「キャー――――ッ!」

突然叫び声を上げるB子。

何事かと訝しむ運転手のC君に動画を見せると

ボヤっと不鮮明な白装束の人たちが、隊列を組んで橋を渡っている。

「マジか。これヤバくない?」

「…違う違う違う。せ、先頭の人見て」

そこに映っていたのは、ついさっきまでいっしょにいたはずのA君。

真っ青になる2人。

急がば電話とA君に電話。

 

 『お掛けになった電話は電波の届かない場所にあるか

  電源が入っていないため、掛かりません』

 

「何よ、これ!」

その数日後。

県道153号を九谷ダム方面へ向かう山道のガードレールを突き破り

バイクごと富士写湖に突っ込んだA君の遺体が発見されました。

(ごめん。申し訳ない。また適当なことを書いてしまった)

 

19:04 @駐車場

想像以上に厳しい山歩きだった。