2023 オランダ・ベルギー 旅の終わり | 動的平衡

動的平衡

同情するならアメをくれ!

 

20:12発で南駅へ。

電車を降りてコンコースを出口に向かって歩く。

ちょっとした偶然。

制服の上にPOLICEの蛍光ベストを着た警察官が8人くらい輪になっていた。

取りあえず報告しとくか。

Does anyone speak English

首を横に振る人。俯く人。照れ隠しに笑う人。

両肘を脇腹に付け、手のひらを上に向け“分からない”ポーズをする人。

一人だけ遠慮気味に小さく手を上げた。

が、親指と人差し指でアルファベットのCを作り『bite』と言った(たぶん)。

英検4級がbite警官に中央駅の掏摸遭遇事件の顛末を説明。

犯人はティーンエイジャーの3人組で1人は黒人。

ホームへ下りる階段で最初は右側から狙われた。

数秒後、左側の男に話し掛けられ、その隙に右側からさっきと違う男がジッパーを開けた。

捕まえて「Call the police!」と何度か叫んだが誰もpoliceを呼んでくれなかった。

「了解。中央駅に連絡して巡回するように連絡する。ありがとう」

 

これはたぶんここでは何も珍しくない日常なんだろう。

ユーロスターも停まるターミナルの南駅はビジネス客が多いのに対し

中央駅は雑多で混沌とした生活路線。

おまけに世界遺産グラン・プラスも最寄りで観光客も多い。

●リュックやショルダーバッグを持ち

●一人で

●デジカメで構内を撮影してる

●間抜け面なじゃぱにーず

とかの条件がコンプリートすると

スリ集団からは瞬時に、格好のカモと認定されるのだろう。

 

ホテルに戻る。

もう洗濯はしなくていいので最終日は楽。

絵葉書にメッセージを書く。

朝、フロントに投函を頼むだけ。

就寝。

 

朝4時少し前。

昨晩食べたワッフルとすりこぎのようなソーセージが胃液といっしょに逆流する。

電子ポットで湯を沸かしスティックコーヒーを紙コップに。

煙草とコーヒーとカメラだけ持って部屋を出る。

ドアを開け無意識に左。廊下を歩きエレベーターホールへ。

“エレベーターはどっちだったっけ?”と考えることもなく

無意識に動けることが、その場所に適応した証拠。

そして慣れたころには、その場所から去る。

 

コーヒーを持ってホテルを出ようとすると

セキュリティのガードマンに呼び止められる。

「どこへ?」

「煙草を吸いに外へ」

「屋外だけどホテルの敷地内にスモーキングエリアはあるよ」

「マジか」

「僕も休憩だ。いっしょに行こう」

【スマホでニッポンのアニメを観ていたガードマンに撮ってもらった1枚】

 

朝6時に起床。

朝ご飯を食べ、シャワーを浴び、荷物を纏める。

後はチェックアウト前に、コンシェルジュに葉書きの投函を依頼すれば終わり。

この葉書きをニッポンに送って欲しいんだけど。

申し訳ございませんが、承ることはできません。

は? 何で?

いえ、当ホテルでは元々そのようなことはお受けしていないのです。

マジか。じゃあ申し訳ないんだけど当ホテルじゃなくあなた個人にお願いできない?

それも出来かねます。

何で?

今日は日曜日で郵便局は休みなんです。

ああ。別に今日じゃなくてもいいから明日、郵便局で切手買って投函してくれない?

申し訳ございません。それも出来かねます。

 

埒が明かない。

遠巻きに写真を撮ってくれたガードマンが何事かと心配そうに見ている。

駆け寄り「個人的なお願いがあるんだ」と事情を説明する。

ガードマンは個人のスマホを取り出し、何かのアプリを探し起動させる。

スマホに向かって話し掛ける。翻訳ソフトだ。

「キョウハニチヨウビデユウビンキョクハヤスミデス」

たどたどしい日本語音声が流れる。

「だからー明日でいいから切手貼って投函するだけだから…」

「ホンジツエイギョウシテイルユウビンキョクハアリマセン」

問題はそこじゃないんだけど…もう時間がない。

「ごめん。いろいろありがとう」

 

空港までどれくらい掛かるか分からないけど

時間が潤沢にあるわけではない。

葉書きを持って隣のホテルへ。

「申し訳ない。ボクはこのホテルのゲストじゃないんだけどお願いしたいことがある」

「…。どんなご用件で?」

結局、宿泊したホテルの対応とほぼ同じことの繰り返し。

●今日は日曜日で郵便局は休み

●当ホテルにはそのようなサービスはございません

●個人的にもお受け出来かねます

 

あと2件違うホテルを回ったけど対応は恐ろしいほど同じ。

マジか。

タイムリミットが迫るので、取りあえずチェックアウト。

荷物を持って南駅構内へ。

案内所で構内で切手を買える店を訊く。

「たぶんあそこのグロースリストアーならあるんじゃないかしら」

教えてもらった食料雑貨店で訊くと「切手は売ってない」。

「この駅のどの店なら切手を売ってる?」

「この駅に切手を売っている店はないよ」

「マジか…」

 

そろそろ時間切れ。

深呼吸して心を落ち着ける。

あとお願いできても時間的に1件。

バッグから紙とペンを出す。

持てる英語の知識をすべて総動員して英作文をする。

出来るだけ切実に悲壮感が漂うような文章になるように。

「ボクはとても善良な市民でニッポンから1人で旅行に来ています。

 この葉書きをどうしてもニッポンに送らなけばならないのです。

 この葉書きはボクにとって特別な意味がありとても重要です。

 宿泊したホテルを初め4件回りましたがすべて断られました。

 もう列車で空港へ向かわなくてはいけません。

 そうです。時間が無いのです。

 お願いです。これがラストチャンスです。

 どうかこの葉書きをニッポンに送ってください。

 切手代、手間賃、もちろんお支払いさせて頂きます。

 どうか助けると思って…」

 

メッセージを書き終えて、一番信頼できそうな人を探す。

KLMオランダ航空のサービスカウンターがあった。

ここだ!

自動ドアの後に警備員。

カウンターの中には4人の職員。

満面の笑みを浮かべながら脱帽・平身低頭で入室。

(何の用だ、こいつは。客じゃないよな)

カウンター内の男女の微妙な視線が集中。

不信感オーラが凄い。

柳沢メモを読み上げ様子を窺う。

一番上役と思われる男は少し離れた場所で腕組み。

珍客にどう対応しようかと女2人、男1人が相談。

そして最初に返ってきた言葉が「今日は日曜日で郵便局は休みです」。

またか。

だからー。

「明日でも明後日でもいいですから何とか投函してもらえませんか?」

3人の内の2人は〈相手にするな。碌なことはない。早く追い返そう〉モード。

一番若くて優しそうな女の子だけは、葉書きを何度もひっくり返して眺めている。

もうこの娘一本に的を絞る。

財布から20€札を引き出しテーブルに置く。

反対派2人は無言で「受け取るな」の圧力を掛ける。

女の子は「こんなに要らないわ」。

よっしゃぁ――――。脈あり!千載一遇の好機到来。

「いいんです。手数料です。受け取って下さい!」

「でも…」

この後も何度も

「こういうことは基本受け付けていない」

「いや、あなた個人にお願いしてるんです」

の攻防が続き、最終的にOK。

ありがとうございました。

無事に葉書き届きましたよ。

 

8:35 @ブリュッセル南駅ホーム

【白耳義は最後も雨】

【オシャレな車内】

 

9:16 @ブリュッセル国際空港

【2024年ミス・ベルギーのファイナリストがいた】

 

そして。

搭乗ゲートに向かいます、ある期待を込めて。

いるかな?

 

10:50

《生命創成探究センター・創成研究領域/バイオフォトニクス研究グループ》の教授。

いたぁぁぁぁぁ―――――――――――――――――!

京成成田アパホテルのツインで一夜を共にした同志w

91時間ぶりの再会。

ここで搭乗までお互いの経過報告。

結局、教授の飛行機は14時間遅れの翌日13時ころ離陸。

ブリュッセルで学会の研究発表も無事に終わり

昨日はブリュッセルから30分の古都ルーヴェンを散策。

昨晩から朝まで学会の仲間と酒を飲んでいたそうだ。

 

15:30 @ヘルシンキ・ヴァンター空港

【4年振り。新しいカフェが出来てた】

【やあ!久振りだね、君たち】

【滑走路は雪】

 

18:05

ほぼ定刻通りヘルシンキ・ヴァンター空港を羽田に向けて飛び立ちます。

 

機内の映画コンテンツがとてもお粗末になっていた。

観たのは2本。

『シャザム!神々の怒り』

『ダンジョンズ&ドラゴンズ:泥棒たちの名誉』

CGの無駄遣いとお金のかけ方が間違っていると思う。

 

14:25 @羽田空港

教授は新幹線で名古屋へ。

ここでさようなら。

連絡先を交換し、“必ずまたどこかで!”

 

19:55発・中部国際空港行きの離陸まで一人。

寝ころびながら本を読み

夕方、第1ターミナル・南テラス3Fの吉野家で牛丼を食べる。

この数日間で食べたご飯の中で一番美味しかった。

「吉野家万歳!」ということで

ぐだぐだ旅日記、終了。

 

 

 

草野さんが唄う

~きっと想像した以上に騒がしい未来が僕を待っている~

じゃないけど。

たぶんまだ暫くはー想像した以上に騒がしい未来―は

何の根拠もなく続くものだと楽観していた。

 

父親の死は、ある程度頭では予期していたことであれ

現実にはまだまだ“近くない未来のこと”と思い込もうとしていた。

順風満帆とは言えないまでも

平穏な日々はいつ終焉を迎えてもおかしくないんだと

冷や水を浴びせられたような一年でした。

 

さてさて来年はどんな未来が待っているのか。

ウクライナ、ガザを初めとした紛争は解決の糸口さえ見えず

我がニッポンも、神戸学院大学法学部教授・上脇博之の告発に端を発した

政治資金パーティー裏金問題で混沌とした様相を呈してます。

来年、自民は奇策・禁じ手を弄し

東大教養学部、三菱総研、ハーバード大・ケネディスクール

外務大臣、法務大臣x3、特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)の

上川陽子を担ぐという噂もまことしやかに流れています。

起死回生の荒業となるのでしょうか?

12月7日、岸田文雄離脱により宏池会会長は空席。

岸田本人は、春闘で給与が上がり、所得税減税が始まりさえすれば

「支持率はきっと上がるだろう」と呑気なことを考えているような気がします。

 

仮にどんだけ贔屓目に見たとしても

~きっと想像した以上に騒がしい未来が僕を待っている~

とは、楽観できない厳しい年の瀬です。

 

お疲れさま。

仕事終了。

これから知多、三河、名古屋のお客さん回り。

それで本年度の仕事納め。

ブログは仕事の休憩時間にしか書かないので

1月5日までは休み。

良いお年を。

また来年!