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生かし生かされる安藤サクラ

(C)2023「BAD LANDS」製作委員

BAD LANDS バッド・ランズ


特殊詐欺グループに属するネリ(安藤サクラ)。調整役の帳簿屋高城(生瀬勝久)の下で、決行当日に尾行や監視が付いていないかを観察し、実行するか否かを現場で判断する「3塁コーチャー」を担うネリは、高城に刑務所帰りの義弟ジョー(山田涼介)にも仕事をやらせてくれと頼んでいる。警察の捜査が行き詰まっているなか、ネリを追う東京の実業家胡屋(淵上泰史)が動き出す。


(C)2023「BAD LANDS」製作委員


初見。ネリの壮絶な人生は徐々に明かされる。「最悪の人生」を受け入れ、悪の道を邁進するネリ。…いや、受け入れてなんかいなかった。選択肢すらなかった人生。選択できるその日まで、人知れずもがき続けていたネリ。


そんなネリを見つめ続けてきた二人。一人は義弟のジョー。サイコパスのやばい弟。姉ネリへの愛だけは揺るがない。もう一人は高城の元相棒曼荼羅(宇崎竜童)。幻覚に悩まされる真正クレイジーもネリの恩に一花で応える。


(C)2023「BAD LANDS」製作委員


常に誰かに支配されてきたネリ。突然訪れた人生の転期。組織、警察、裏社会の大物。敵だらけの包囲網。わずかな味方と共に戦いを仕掛ける。社会から拒否された3人の物語。容赦のない敵に容赦のない反撃。それは生きるための本能。


本作はフィクションではある。が、ネリのような環境で育った被害者は確実にいる。国や制度の庇護は限界がある。自身がしたたかにならなければ生きられない。違法なのは承知。なのに、ラストシーンのネリには爽快感さえ覚える。


(C)2023「BAD LANDS」製作委員


ダブル主演とされがちの本作。個人的には安藤の作品だったと思う。「ネリ」というキャラ設定。これは難関。誰でもできるシロモノじゃあない。安藤の「凄み」を嫌というほど実感させられる。原田バイオレンスが苦手な僕だが安藤にやられた。


山田涼介は否定してない。むしろ山田のアシストがあっての安藤。宇崎も同じでトリプル主演レベル。生瀬が真性ワルを披露。 江口のりこが控えめな一方でサリngROCKが強烈。淵上泰史…あ、市長!(笑)。「ヘルドッグス」から岡田准一がゲスト。


(C)2023「BAD LANDS」製作委員


やばいのだったらどうしよう。そんな不安のまま鑑賞した。安藤サクラの圧倒的な表現力に救われた。山田が、宇崎が、生瀬が、サリngROCKが、そんな安藤の周りで自由に躍動。自らが光を放つスターはいるが、周りを生かし生かされる存在は稀有。


耐性ができたのか、近頃はバイオレンスも観るようになった。本作、世界観は苦手。オラオラする兄さんたちって怖いじゃん(汗)。だけど、これ、案外好きかもしれない。とりあえず安藤サクラはカッコいい。



 DATA

監督・脚本・プロデュース:原田眞人/原作:黒川博行

出演:安藤サクラ/山田涼介/生瀬勝久/吉原光夫/大場泰正/淵上泰史/前田航基/岡田准一/江口のりこ/サリngROCK/天童よしみ/宇崎竜童



hiroでした。



万引き家族←の安藤サクラが近いかな


グラスホッパー←の山田涼介っぽい


さよならマエストロ←の市長がぁ⁉︎