90本目(11月8日鑑賞)
 
蝉の色香に惚れる
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グラスホッパー

監督:瀧本智行/脚本:青島武/撮影:阪本善尚/音楽:稲本響/原作:伊坂幸太郎
出演:生田斗真/浅野忠信/山田涼介/菜々緒/吉岡秀隆/麻生久美子/金児憲史/佐津川愛美/村上淳/波留/山崎ハコ/宇崎竜童/石橋蓮司
 
暴走車両にはねられ婚約者(波留)を失った鈴木(生田斗真)は、教職を辞め、事件の真犯人と目される寺原(石橋蓮司)親子が牛耳る組織に潜入し、復讐の機会を狙っていた。ある日、寺原ジュニア(金児憲史)が何者かに交差点で押され、車にはねられ死亡。その場に居合わせた鈴木は幹部の比与子(菜々緒)の命令で押し屋と呼ばれる殺し屋(吉岡秀隆)を尾行する。同じ夜、自殺屋と呼ばれる殺し屋鯨(浅野忠信)は、依頼人の寺原が若手の殺し屋蝉(山田涼介)を使って自分を狙っていることを知る。
 
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殺し屋がそこらにいる。しかも、日常のすぐ側に。リアリティのなさがファンタジーを生み出す伊坂ワールド。
 
原作、詳細の記憶は怪しいが、楽しんだ。本作だいぶ改変された様子。確か教え子の女の子はいなかったのではなかったか。適度に忘れてるので初見の気分。
 
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冒頭は渋谷ハロウィン。どこからともなく集まる群衆。目的もなく街を練り歩き、群れが散った跡はゴミの山。群れをなして畑を荒らし、どこかへ消え去るバッタの群れと酷似。原作にない設定を盛り込んだ監督の手腕、絶妙。渋谷の交差点は実物大のオープンセットらしい。
 
日常と非日常の狭間が伊坂の世界。本作もそこに立っているのだが、どこか違和感。アクションが効いているのはさすがに「脳男 」監督だけど、そこに立つべきメインキャラが弱い。

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蝉山田がいい。お若いのに匂い立つ色香。マナー広告暗殺教室編とのギャップが壮絶。「脳男」で斗真にアクションを叩き込んだ瀧本監督、今回のターゲットは山田くん。アイドルでも遠慮なし。「そいつはヘヴィだな」
 
鯨浅野はイメージ通り。蝉と鯨のキャラが強くて斗真が霞む。菜々緒もイメージ通りでほぼいい仕事。吉岡秀隆も麻生久美子も静かに自己主張。波留は徹頭徹尾清楚。そんな具合で、斗真が埋もれてく。

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アヒルと鴨のコインロッカー」の瑛太、「ゴールデンスランバー 」の堺雅人、「重力ピエロ 」の加瀬亮。芯は強い(最初は弱い)が戦闘はからきし。斗真は結構好きな役者。同系キャラだが、本作、生かしきれてなかったか。
 
伊坂の世界観はあっても、空気感が違う。瀧本バイオレンスとして成立してるので、これもありではある。文句に思える部分は、ただの伊坂映画ファンの戯言です。
 
 
hiroでした。
 
 
脚本7 映像7 音響7 配役8 他(美術)8
37/50