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移民社会を描く大人ピクサー

(C)2023 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

マイ・エレメント


エレメントシティにやってきた火のエレメント、バーニー(ロニー・デル・カルメン/楠見尚己)とシンダー(シーラ・オンミ/塩田朋子)は雑貨店ファイアプレイスを開業。店は繁盛し、後にファイアタウンの中心となる。高齢になったバーニーは、一人娘のエンバー(リーア・ルイス/川口春奈)に店を譲るテストとして、セールの日の店を任せる。ところがエンバーは客のわがままに我慢ができず、地下室で怒りを爆発。建物の水道管から水が漏れ出し、役所の検査官で水のエレメント、ウェイド(マムドゥ・アチー/玉森裕太)が流されてくる。


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初見。技術だけじゃないピクサー。「深い話」が多いので毎度感心させられる。思春期前後がターゲットのテーマが多いけど、今回は大人向け。水、土、風、火の元素たちが一緒に暮らす街。これは多民族コミュニティの置き換えだよね。


バーニー一家は移民でエンバーは移民2世。中国系のイメージかな。「私ときどきレッサーパンダ」もそうでしたね。ウェイドはイスラム圏でしょうか。「この民族はみんなこう」という決めつけ。そこから差別、区別は生まれる。


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親子のドラマもサラリと練り込む。子どもが店を継ぎたがってると思い込んでいた父、店を継ぐことが幸せだと思い込んでいた子。おまけに大の水嫌いな父と水と恋におちた子。ずっと仲が良かった父娘の関係にウェイドが水を差す。


異文化と父娘の話は本作の両輪。練り込まれた異文化表現に対し、父娘の物語は「よくある話」でややバランスに欠けていたか。「当たり前」を強いるのは嫌だが、本作のエンバー、本気で店を継ぎたがってるように見えたのは気のせい?


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ルイスは中国の孤児の出身で米国の里親のもとで育つ。「君たちはどう生きるか」の英語版参加のアチーはモーリタニア出身で両親の亡命で米国へ。「移民」とは縁が深いキャスティング。ウェイドの母は「ホームアローン」のキャサリン・オハラ


今回は日本語版で視聴。川口春奈と玉森裕太が主役の二人。MEGUMIも印象的なキャラで参加。監督は「アーロと少年」のピーター・ソーン、製作総指揮は「ソウルフル・ワールド」のピート・ドクター。ドクターカラーが濃かったかな。


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移民、異文化、差別…わかってるようでわかってないのが大人。そういう大人を見てるから、子どものいじめも起きる。文化は尊重しつつ、民族という集団じゃなく、その人個人を見られるようになれば、争いも減るはず。


「ソウルフル・ワールド」同様、本作も大人ピクサーの作品。いろんなバリエーションがあるのは肯定。むしろもっと大人寄りで良い。本作を大人がスクリーンに観に行くか、が問題だが、今は配信があるしね。



 DATA

監督・原案:ピーター・ソーン/脚本・原案:ジョン・ホバーグ/キャット・リッケル/脚本:ブレンダ・シュエ/製作総指揮:ピート・ドクター/音楽:トーマス・ニューマン

出演:リーア・ルイス/マムドゥ・アチー/ロニー・デル・カルメン/シーラ・オンミ/ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ/キャサリン・オハラ/(日本語)川口春奈/玉森裕太/楠見尚己/塩田朋子/MEGUMI/山像かおり



hiroでした。



私ときどきレッサーパンダ←も移民の話


ソウルフル・ワールド←と似た空気


ホームアローン←のママが声の出演