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続編はモンスターバトル?

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

孤狼の血Level2


仁正会と尾谷組の抗争の中で散った大上の遺志を継いで抗争の手打ちを仕切った日岡(松坂桃李)。その騒動から3年。両組は日岡の介入で微妙なバランスを保っていた。そんな折、仁正会の若手幹部・上林(鈴木亮平)が刑務所から出所。その直後、ピアノ教師殺人事件が発生し、日岡は元公安の所轄刑事瀬島(中村梅雀)と組んで捜査を始める。


(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会


役所広司・松坂のW主演でヒットした「孤狼の血」の続編。原作三部作の第一部から派生する映画オリジナルのストーリー。暴力団との癒着が噂されながら自らを汚して抗争を阻止した大上の役割を元堅物エリート日岡が一人で背負い込む。


前作の対組織の構図を大きく覆した本作。敵対するのは上林という狂犬。とにかく容赦がない。周りに迎合する気もさらさらない。少年期の特異な生い立ちから人間らしい感情をすべて失った最凶モンスターだ。このキャラは近年稀に見る怖さ。


(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会


殺人犯対癒着刑事というサスペンスがベース。この感じ、前作よりも濃厚。ハラハラドキドキでエンタメ性は確実に上昇。威張ってばかりの組幹部をものともしない勇猛さは痛快なのだが、この上林の素があまりにも怖すぎる。


一方、日岡サイドは子飼いのチンピラチンタ(村上虹郎)を上林のもとに送り込み情報収集。上林を騙す…これヤバいパターン。スクープ狙いの新聞記者(中村獅童)も加わり、三つ巴、四つ巴。日岡は上林を追い詰めることはできるのか。


(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会


W主演から単独主演を託された松坂。演技派で荷が重いことはないのだが「大上」をコピーしたようなキャラ設定はもったいない気がした。ヒロイン西野七瀬は挑戦的なキャラなのだが、大きな一歩は踏み出せてなかったかな。


本作は何といっても「鈴木亮平」劇場。極悪非道なヴィラン。南雲監督の面影ゼロ。原作に登場しないので好きなようにやれたのだろう。村上虹郎早乙女太一はいつもの役(笑)。似た役が多いのは他にできる人がいないということか。貴重。


(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会


…とエンタメ性は鈴木のおかげで爆上がりだけど、前作は役所の「年季」とか、そういうのに支えられてた気がする。松坂に同じものを求める気はない。が、同じものにこだわったのかな。大上とは違う日岡の「孤狼」も見たかった。


エンタメ性に寄ったために深みがない。オリジナルストーリーだからかな。ハリウッドっぽいモンスターバトルに落ち着いちゃった。松坂の日岡に期待していたので、個人的にはややガッカリ。鈴木のカメレオンぶりと西野のご尊顔が救い。



 DATA

監督:白石和彌/脚本:池上純哉/原作:柚月裕子

出演:松坂桃李/鈴木亮平/村上虹郎/西野七瀬/中村獅童/滝藤賢一/寺島進/宇梶剛士/渋川清彦/斎藤工/音尾琢磨/早乙女太一/矢島健一/三宅弘城/青柳翔/筧美和子/吉田鋼太郎/宮崎美子/かたせ梨乃/中村梅雀



hiroでした。



孤狼の血←前作


ひとよ←白石和彌と鈴木亮平


日本で一番悪い奴ら←も白石監督だった