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もがけばもがくほど…
(C)2023映画「最後まで行く」製作委員会
最後まで行く
刑事課の警察官工藤(岡田准一)は母の危篤の知らせを受け、雨の中、車で病院に向かっていた。その最中、暴力団との癒着の件で監察が入るため署に戻るよう上司から連絡が入る。癒着は事実だったが、全てを自分に押し付けるかのような上司の態度に苛立った工藤は突然飛び出した男性に気付かずはねてしまう。
(C)2023映画「最後まで行く」製作委員会
同名韓国作品を「新聞記者」の藤井道人がリメイクしたサスペンスを初見。中国、フランスでもリメイクされたオリジナルは未見。ハードなストーリーに驚き。社会派イメージの藤井監督がこういう激しいの撮るんだ、というのも驚き。
主人公工藤が詰む。詰みまくる。不正がバレて罪をなすりつけられて、母ちゃん死んで、人轢いて…年の瀬に「最悪」の大渋滞。どんどん追い込まれ、打つ手打つ手が悉く裏目に出る。収賄、轢き逃げ、隠蔽…どんだけ罪を重ねるんだよ。
(C)2023映画「最後まで行く」製作委員会
実はもう一人の主人公がいる。監察官の矢崎(綾野剛)だ。監察なので警察の内部調査が仕事。工藤を追い込んでいくのかと思いきや案外話がわかる。ところがこの矢崎、工藤なんかよりもっと詰んでて…詳しくは書けなくてごめん。
工藤の話と矢崎の話の二重構造。このストーリーおもろいやん、などと思い始めた頃、第3のストーリーが展開する。脚本の話の広げ方が尋常じゃない。オリジナル未見なので予測でしかないのだが、オリジナルの脚本力ってことなのか。韓国すごい。
(C)2023映画「最後まで行く」製作委員会
メイン主演の岡田。小心者的悪行での「なんでだよ⁉︎」というボヤキがリアル。格闘能力はほぼ出番なし。岡田の情けないキャラは珍しい。もう一人の主演の綾野。矢崎はターミネーターか(笑)。藤井監督とは「ヤクザと家族」に続くコラボ。
広末涼子は「●●の妻」役が増えた。騒動後、方向転換はあるんだろうか。駿河太郎がちょい役だがいつものちょい役とは一味違う。磯村勇斗がジルベールみたい(笑)。秒で消える…わけはないよね。柄本明が本領発揮の親分さん。
(C)2023映画「最後まで行く」製作委員会
次々起こる最悪の事態。もがけばもがくほどハマっていく底なし沼。わずかな悪事に手を染めるのは容易。ところが、一度染めてしまうと抜け出すのは困難。悪いことしちゃいけません。ちょっとだけ魔が刺したなら、誤魔化さずに速攻謝りましょう。
「正義の味方」はゼロ。何が正しいのかの感覚が麻痺してくる。リメイクとはいえ、日本映画でここまでやった。いろんな問題作を投じてきた藤井監督。目を離せないディレクターの一人だ。
DATA
監督・脚本:藤井道人/脚本:平田研也
出演:岡田准一/綾野剛/広末涼子/磯村勇斗/駿河太郎/山中崇/山田真歩/清水くるみ/杉本哲太/柄本明
hiroでした。