#22 TOHO_HIBIYA


生き残った者の責任

(C)2023 TOHO CO.,LTD

ゴジラ-1.0


大戦末期、特攻隊員の敷島(神木隆之介)は機の異常を訴え大戸島整備基地に着陸する。その夜、島に謎の巨大生物に襲われ基地は全滅。生き残った敷島と整備隊員の橘(青木崇高)は終戦を迎えて帰還する。敷島は瓦礫の山となった東京で赤子を抱えた典子(浜辺美波)と出会い、共に暮らし始めるが、毎夜のように島で死んでいった兵と島民がゴジラと呼ぶ巨大生物の夢にうなされていた。


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例によって銀座に現れる巨大生物。見慣れた和光より大きいのでサイズもわかりやすい。その和光も壊滅。日劇(現阪急)も破壊し、記者がいたのはおそらく読売新聞社(現ビックカメラ)。TOHOシネマズ日比谷で鑑賞。やば。すぐそこまで来てる!


変な緊張感のなかでVFXの第一人者山崎貴が描くゴジラを鑑賞。終戦直後の東京が舞台。復興に向かう首都が再び壊される。「地球の支配者は人間ではない」…海外版のセリフが頭をよぎる。戦争という破壊を起こした人間への地球の怒りだ。


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庵野版「シン・ゴジラ」はシミュレートであり客観である。時代を遡った本作は戦後を生きる日本人の物語。軍の主導で終始したこの国の戦争は、いったい何だったのか。国民はどう納得すればいいのか。敷島ら登場人物はその答えを模索する。


男たちが悩み、苦しむなか、先に答えを出していたのは女たち。典子や澄子(安藤さくら)が象徴。彼女らが持っていた答えを男たちはゴジラとの戦いのなかでようやく見出す。どんなに辛くても「生き」なきゃダメなんだ。


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後ろ向きな神木くんは久しぶり。やり場のない怒りと心に広がる闇。近年、出色の出来栄え。浜辺は朝ドラに続く神木の相方。いや撮影順は本作が先か。ワイルドなスタートから、収まるところに収まる。阿吽の呼吸。


吉岡秀隆は司令塔。山崎監督とは「ALWAYS/三丁目の夕日」からだから長い。この吉岡と空港好き佐々木蔵之介と休み知らず山田裕貴が神木のチームメイト。安藤と青木がストーリー部分の鍵を握る。マイケル・アリアス? マッカーサー役か?


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今回のゴジラは獰猛。マヂで怖い。冒頭からゴジラの「恐怖」を思い知らされる。終戦後、武器と呼べるものはすべて接収された日本。アメリカも助けてくれない。残された対抗手段は技術と叡智だけ。ラストの駆除作戦は熱くなる。


戦争を起こした人間の罪。命の価値。敷島の選択は未来に繋ぐ「生き残った者の責任」だ。残念なことに今なお戦争という愚行はなくなっていないのだが。


いい加減にせんとまた来るぞ。



 DATA

監督・脚本・VFX:山崎貴/音楽:佐藤直樹・伊福部昭

出演:神木隆之介/浜辺美波/吉岡秀隆/山田裕貴/安藤さくら/田中美央/阿南健治/マイケル・アリアス/青木崇高/佐々木蔵之介



hiroでした。



シン・ゴジラ←庵野版ゴジラ


ゴジラVSコング←ハリウッド版


GODZILLA←いわゆるアニゴジ