#7 TOHO_NIHONBASHI


あの日あの時あの場所で

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エブリシング・エブリウェア・

オール・アット・ワンス


コインランドリーを切り盛りするエヴリン(ミシェル・ヨー)。夫のウェイモンド(キー・ホイ・クァン)は頼りなく、一人娘のジョイ(ステファニー・スー)は奔放で反抗的、父ゴンゴン(ジェームズ・ホン)もアメリカの生活に馴染もうとしない。そんな冴えない人生に疲れていた時、国税庁に出頭を命じられる。施設に向かうエレベーターでウェイモンドが奇妙な行動をとる。


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あの時の選択は間違ってなかったか。それって誰にでもあるよね。選択肢ごとに違う未来に枝分かれする。多元宇宙、並行宇宙=マルチバース。「それおかしい」は置いといて世界観に入っていかないと、マルチバースは楽しめない。


マーベル作品を観ている方々はやっと慣らされてきたところ。本作はマルチバースをSFではなく、一人の女性の人間ドラマとして活用。これは画期的。アクション、コメディ、下ネタ要素もふんだんに盛り込んで、マルチバースは新時代へと突入。


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ポイントは主人公エヴリンの結婚。その選択肢から無数のバースへと世界は分岐。だから無数のエヴリンが存在する。映画スター、歌手、シェフ、そして「岩」(笑)。あちこちのエヴリンとつながるネットワークが展開。


戦争、LGBTs、親子。終盤、さまざまな問題が入り乱れ、着地点が予測できないカオスが生まれる。でもエヴリンは大丈夫。さまざまなバースで枝分かれした未来を見たエヴリンは選択が間違ってないことを知っているから。


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新しいところではMCU作品「シャン・チー」の里のリーダーが印象的だったヨー。凛とした役が圧倒的に多かったヨーが生活に疲れた冴えないキャラ。思い切った振り切り。アジアの大女優が椿鬼奴に見えるというギャップ。貫禄だ。


話題の助演クァン。「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」「グーニーズ」の少年は映画ファンでなくても覚えてるよね。ニューカマーのスーは娘とヴィランを演じわける活躍。ジェイミー・リー・カーティスも家族外ながら印象に残る。


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2023年各賞の台風の目の本作。コメディなのに珍しい…と思いきや納得のテーマ。ただし「いいね」をみんなで共有する類ではないかな。テーマを探すの大変だし、アメリカ好みの下ネタ多いし、何よりマルチバースはわかりづらいだろうし。


アクション、コメディ、家族愛…多面性のある本作はどのカテゴライズも間違ってない。「あの時、違った選択をしていたら…」という思いを経験した僕は「選択は間違ってない。今ここにいるのには意味がある」というポジティヴが刺さった。



 DATA

監督・脚本・製作:ダニエル・クワン/ダニエル・シャイナート/製作:アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ/ジョナサン・ワン

出演:ミシェル・ヨー/ステファニー・スー/キー・ホイ・クァン/ジェームズ・ホン/ジェイミー・リー・カーティス/タリー・メデル/ジェニー・スレイト/ハリー・シャム・ジュニア



hiroでした。



シャン・チー←ヨー出演


ラスト・クリスマス←ヨー出演


インディ←クァン衝撃デビュー