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初恋は無双
First Love/初恋
バツイチのタクシードライバー也英（満島ひかり）には元夫で医師の行人（向井理）と暮らす15歳の一人息子綴（荒木翔羽）がいる。定期的に母と過ごすために札幌に来た綴はその夜、ダンス動画を撮影してSNSにアップしているダンサー詩（アオイヤマダ）に会うため、撮影しているビルに向かう。ビルには詩の無許可撮影を黙認している夜勤警備員の晴道（佐藤健）がいた。晴道と也英は高校時代の初恋の相手だった。
全9話からなるNETFLIXオリジナルドラマを視聴。宇多田ヒカルの「First Love」と「初恋」をフューチャーしたストーリー。也英と晴道に何があって別れたのか。単に「初恋は成就しないもの」というわけではないのだが、ネタバレ厳禁。
時系列が行ったり来たりして小出しにする構成。エピソードの配置が上手い。主人公が生きる時代の背景にも共感。宇多田ヒカルのデビュー、湾岸戦争、震災、そしてコロナ。二人と同じ時代を生きた35歳前後の方には特に刺さると思う。
設定や映像…どこか岩井俊二の匂い。調べてみたら監督・脚本をされている寒竹ゆりは岩井俊二に師事している、いわゆるお弟子さん。キャストも豪華で見応えあり。少し長い気はするが、必要なエピソードばかり。端折って映画にしなくて正解では。
スタッフの丁寧なお仕事に加え、満島ひかりが本作のグレードを上げる輝きだ。言いたいことを心にしまった顔。逆に心の動きを隠せずにダダ漏れしている顔。彼女の表情はこんなにも豊かだったか。キャリアハイと言っていいのではないだろうか。
初恋は無双。怖いものなし。最強。それだけに思い出も強烈だ。大人になり、その間いろんなことがあり、多くの方が気がついたら「それなり」な大人になっている。ああいう終わり方をした初恋ならなおのこと、その輝きは色褪せない。
あの時の輝きと現在の対比。すべてがつながった二人が導き出す答えは…。「それなり」な大人になった方のその選択は悪いことではないと思う。それなりになる必要があったのだから。大丈夫。あの輝きは必要な時にいつでも取り戻せるから。
監督・脚本：寒竹ゆり
出演：満島ひかり/佐藤健/八木莉可子/木戸大聖/夏帆/荒木翔羽/アオイヤマダ/美波/長澤樹/中尾明慶/若林時英/岡部たかし/渡辺真起子/銀粉蝶/山本陽子/寺田農/新津ちせ/古館寛治/濱田岳/向井理/井浦新/小泉今日子
hiroでした。
虹の女神←岩井俊二プロデュース作品のメイキングを撮影しているのが寒竹さん
