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自然を敬い、畏れる
(C)2021Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
モンタナの目撃者
政治家の汚職を知ってしまった父(ジェイク・ウェバー)が何者かに殺されるのを目の当たりにしたコナー(フィン・リトル)。追っ手から逃れるためにモンタナの山中を彷徨っていると、山林消防隊のハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)と出会う。コナーの話を聞いたハンナは街へ下ろうとすると追手が放った火で山火事が発生していた。
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「オンリー・ザ・ブレイブ」でも思ったけど山火事って怖い。日本では大規模な山火事ってそうそうないので実感しにくいけど、アメリカとかの大規模山林火災のニュースは毎年のように聞く。こういう災害が身近なのよね、あっちは。
何が怖いって「炎」だよね。炎は燃やすものがなくなると燃やせる物を求めて移動する。さながら捕食する肉食動物のよう。逃げるハンナとコナーに襲い掛かるシーンは戦慄。アンジー主演の山火事+アクション+サスペンス作品を初見。
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ただし、本作は詰め込み過た感が否めない。事件の背景やコナーのその後が曖昧なまま終わるのは気にならない。山火事の怖さや消防隊の活躍が描かれるのであれば。迫り来る炎のシーンは少なく、メインキャラ以外の屈強な隊員たちもあまり出番なし。
それでいて二人を追う追跡者にエイダン・ギレン、ニコラス・ホルトを配して消防隊キャストは手薄。結果、どこに力を入れているのかわからなくなる。多くはない炎のシーンは大迫力だし、面白い話ではあったので、なんかもったいない。
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監督業なども始めたアンジー。一役者としての本格アクションは久しぶりな気がする。子役リトルはお初。アンジーのバディとなるとさぞ大変だったであろう(笑)。「ウォーキングデッド」のジョン・バーンサルはアンジーのサポート役。
悪役コンビはギレンとホルト。原作設定は兄弟なのだそうだが、作中そんな説明あったかな。あんまり強くないので残念。保安官の妻役メディナ・センゴアはどこかで見た気がするのだが…。本作における真のヒーローだ。
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山火事に対してトラウマ抱えていた主人公。ラストで克服した彼女が「火は美しかった」とポツリ。これが山や自然に対する「畏敬」である。正しく敬い正しく畏れる。人類が地球を支配してると思ったら大間違いなのだ。
…本来のテーマはそこなのではないかと。約100分の本作。あと20分足してハンナを掘り下げるか、消防隊をクローズアップするか、できなかったのかな。大人の事情でもあったのでしょうかね。
DATA
監督・脚本・製作:テイラー・シェリダン/原作・脚本:マイケル・コリータ/脚本:チャールズ・リーヴィット
出演:アンジェリーナ・ジョリー/フィン・リトル/ニコラス・ホルト/エイダン・ギレン/メディナ・センゴア/ジョン・バーンサル/ジェイク・ウェバー
hiroでした。