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本当にあったなりすまし詐欺

キャッチ ミー イフ ユー キャン


口が立つ陽気な父(クリストファー・ウォーケン)が大好きな高校生のフランク(レオナルド・ディカプリオ)。銀行の融資が受けられずに店をたたんで小さなアパートに引っ越すが、転校初日にバカにした生徒に新任教師のふりをして反撃。見事に教師の役を演じ切った。それを知った学校は両親を呼び出すが、父は見つからないようにフランクに笑って見せた。そんな両親が離婚することになり、家を飛び出したフランク。しかし、お金も信用もない子どもに対し世間は冷たかった。



スピルバーグが映画化した驚きの実話。本作公開から約10年後には映画脚本ベースのミュージカル作品となり、岩本照主演の日本キャスト版が上演され話題になったのは記憶に新しい。そんな人気コンテンツを久しぶりに再見。


詐欺師を捕まえる…ではよくある話。捕まった詐欺師がその腕を買われて捕まえる側に回るのが本作のキモ。ただし捕まえるカール捜査官(トム・ハンクス)は創作キャラ。フランクとカールの関係性がドラマのカギなのでフィクションと思ってよい。



フィクション=NGではない。むしろカールというキャラが作られたからこそのエンタメ性アップ。フランクの人生を追うだけならノンフィクションで事足りる。逃げるフランクと追うカールのやりとりこそがツボだったりする。


もう一人物語に深みを加えたのが父の存在。生活力低めのダメ親父。フランクを「詐欺師」にしてしまった原点である。なのに暴力も振るわないし、酒やギャンブルにも溺れてないし、まじめに仕事もしてるし、家族も愛しているので憎めない。



どんな人物にもなりきる。出所後の切り替え含め、俳優ディカプリオとして楽しかったことだろう。一方、ハンクスのカールには実在モデルがいない映画オリジナルのキャラ。感情の静かな変化はハンクスの演技スキルの見せどころ。


憎めないダメ男を演じたウォーケンに感嘆。主張しすぎないためのブレーキコントロールが絶妙。マーチン・シーンがビッグネームなのに控えめな役。エイミー・アダムスはヒロイン位置。エリザベス・バンクス、すいません、気が付かなかった。



誰でも何かしらの才能は必ず持っている、と信じている。諸方面で「天才」と呼ばれている人は「特別な人」ではなく、自分の才に気付き、その才を磨き続けた人、だと思っている。フランクはやはり、その才に気付くのが遅すぎたのかな。


司法取引的な「法的に無かったことにする」というのはあまり好きじゃない。罪は罪。きちんと償わないと被害者はたまったものではない。話は面白いが、「なりすまし詐欺」が横行する今、笑って見てられるのは「なりすまし教師」までかな。



 DATA

監督・製作:スティーヴン・スピルバーグ/脚本:ジェフ・ナサンソン/原作:フランク・W・アバグネイル/音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演:レオナルド・ディカプリオ/トム・ハンクス/ナタリー・パイ/エイミー・アダムス/ジェニファー・ガーナー/エリザベス・バンクス/マーチン・シーン/クリストファー・ウォーケン



hiroでした。

*画像は映画.comなどから引用



Jエドガー←ディカプリオ演じる実在の人物


ペンタゴンペーパーズ←スピルバーグ×ハンクス


ヘアスプレー←脇でもグッジョブなウォーケン