9本目(2月1日鑑賞)
今年最初の年間ベスト候補。超オススメ。
あー面白かった!今年ナンバーワン候補!
監督・脚本:マーティン・マクドナー/音楽:カーター・バーウェル
出演:フランシス・マクドーマンド/ウディ・ハレルソン/サム・ロックウェル/アビー・コーニッシュ/ジョン・ホークス/サマラ・ウィーヴィング/ピーター・ディンクレイジ/ルーカス・ヘッジズ/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
殺人事件で娘を失ったミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は一向に進展しない捜査に業を煮やし、三枚の看板に意見広告を出した。これを警察への侮辱と受け取った警官のディクソン(サム・ロックウェル)は署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)を伴って広告代理店のレッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)のもとに向かう。
傑作!
犯人探しのミステリーだと思ってた。そしたら、どうよ。泣けて、笑えて、それでいて大きな愛がある。あらゆる要素が自然に詰め込まれた極上エンタメ。とんでもない作品。
ミルドレッドがいつも口を尖らせ、チッチッと舌打ち。終始、心の内が煮えたぎっている不機嫌な強烈キャラ。周りにいたら怖いなーと思いつつ、警察権力にも屈しない強靭さは爽快感。
彼女の孤独な闘い…は導入に過ぎない。
暴力的でキレやすい警官ディクソン。差別意識も職権濫用も隠すことすらしない、超わかりやすい悪者。怒りに任せてビルから人を投げ落とした時は、嫌悪しか感じない。
こんなヤクザな部下をなだめながら、ミルドレッドとの和解の道を探るウィロビー署長。末期がん。無事退官したいところに騒ぎを起こされ困惑。
…こんな警察側の事情もやはり導入。
中盤。署長のある行動で事態は一転。署長の愛、でっかいでっかい愛。その後は予測もつかない展開。あーなるのかな、こーなるのかな、が小気味いいほど裏切られる。
レイプ、殺人、被害者遺族、悪徳警官、人種差別、同性愛、暴力、怒り…いろんな要素を放り込みながら重くない。どころか笑いさえ咬ませてくる。で、ちゃんと納得いく方向へと収束していく。
終始ワクワクがある。気持ちいい方向に裏切られる至極の116分。
フランシス、サム、ウディの主要3人は、本当に素晴らしい。第90回アカデミー賞では3人ともノミネート。こりゃ楽しみ。
「ジオストーム」でSP役のアビー・コーニッシュがウディの妻役。上手な人だと知った。フランシスの息子役がルーカス・ヘッジズ。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の子。出番も多く、今後も楽しみ。
ジョン・ホークスがいやらしい。ピーター・ディンクレイジ(「ピクセル」の人ね)がカッコええ。サマラ・ウィーヴング演じる19歳の動物園女がおかしくて重要な役。
「怒りは怒りを来たす」。脇役の一言がひとつのキーワード。怒りを解いたから「あんた以外に誰がやる」につながる感動。人の言葉には耳を傾けよう。
人は多面性がある生き物。その本質を見抜くというのは、これが結構難しい。
hiroでした。
脚本9 映像8 音響8 配役9 音楽8
42/50