7本目(1月27日鑑賞)

 
円熟の二人が醸す夫婦の阿吽
{6D82E076-8B8A-4033-A0E7-ED9D7DCAAA15}
ロング,ロングバケーション
 
監督・脚本:パオロ・ヴィルズィ/脚本:スティーヴン・アドミン/フランチェスカ・アルキブージ/フランチェスコ・ピッコロ/原作:マイケル・ザドゥリアン/音楽:カルロ・ビィルズィ
出演:ヘレン・ミレン/ドナルド・サザーランド/クリスチャン・マッケイ/ジャネル・モロニー
 
エラ(ヘレン・ミレン)とジョン(ドナルド・サザーランド)の老夫婦が子どもたちに何も告げずにキャンピングカーで旅に出る。子のジェーン(ジャネル・モロニー)とウィル(クリスチャン・マッケイ)の気がかりは、ジョンがアルツハイマーを、エラががんを患っていること。そんな心配をよそに二人は一路フロリダを目指す。
 
{94265C46-7FFB-40DC-A402-9BC011357B55}
 
ロードムービーとは、旅を通して成長する物語。ロード=道を人生に例えることもしばしば。老夫婦の「道」とは何か。失礼ながら今さら成長というわけでもない。その答えはエンディングにある。
 
記憶が徐々に抜けていく夫とがんに蝕まれていく妻。それでも明るく楽しいコメディ仕立て。チンプンカンプンな夫の言動にも臆することなく笑ってよい。それは二人が道中、恋を、夫婦をやり直しているから。
 
{3B06B922-5A59-40D0-9A21-F2761D4EACB0}
 
夜ごと開催される思い出写真のスライドショー。まるで、二人の時間を振り返り、体験し直しているよう。このシーンは心に残る。
 
どんな縁でも半世紀連れ添えば「運命の人」だ。ずっと隠してた秘密が発覚し怒る妻。若いころのように。でも許す。許す理由があるからではない。二人で迎えるゴールがわかっているから。
 
人生の最期を見据えると、愛は時間さえも超越する。二人で過ごした時間は永遠になる。
 
{1FFEDC7B-CCD5-4BEF-A784-8C4D3751D6DF}
 
ヘレンは72歳。それでいて、「ワイルド・スピード アイス・ブレイク」「RED」シリーズみたいなアクション大作にも「アイ・イン・ザ・スカイ 世界で一番安全な戦場」みたいな社会派作品にも、いまだトップ女優として出演しているのだから頭が下がる。
 
大物82歳サザーランドが大熱演。お漏らししたり、妻の顔がわかんなくなったり、でもって落ち込んだり。イメージをかなぐり捨てた飾らない演技に声をだして笑って、気がついたら涙してた。
 
{87AE935A-01AB-4FF0-85D8-3D9F900A3534}

 

最初はドライにさえ見える二人の関係。やがて信頼と愛情に包まれていることがわかる。良いところも悪いところも受け止め、ただ一緒の時を過ごす。ただ寄り添い合う。そんなことが、案外難しい。

 

賛否が分かれそうなラストは受け入れてしまった。詳しく書けないのがもどかしいが、それも選択肢のひとつだと。認知症は65歳以上の5人に1人(2025年推計)、がんに至っては2人に1人がかかる時代。大変なのは理解するが、この事実は受け止めないといけない。

 

もはや他人事ではない。老い方、死に方、生き方を考えないと。

 

 

 

hiroでした。
 
 
 
脚本9 映像8 音響7 配役9 音楽8
41/50