6本目(1月13日鑑賞)FP⑨
 
そのパン、全部買います!
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アイ・イン・ザ・スカイ

世界一安全な戦場

 

監督:ギャヴィン・フッド/製作総指揮・脚本:ガイ・ヒバート/プロデューサー:ジェド・ドハティ/コリン・ファース/デヴィッド・ランカスター/音楽:ポール・ヘプカー/マーク・キリアン

出演:ヘレン・ミレン/アラン・リックマン/アーロン・ポール/バーカッド・アブディ/ジェレミー・ノーサム/イアン・グレン/モニカ・ドラン/フィービー・フォックス

 

ケニア上空の無人偵察機から送られる建物の映像。探し続けた二人のテロリストがそこに現れるという情報をつかんだ英国諜報機関のパウエル大佐(ヘレン・ミレン)は、二人の姿を確認し、自爆テロの準備をしていることを知る。共同作戦を遂行する米軍のドローン操縦士スティーブ(アーロン・ポール)に攻撃準備を指示したパウエルは、英国国防相ベンソン(アラン・リックマン)に攻撃許可を求めた。

 

 

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英国国防省と作戦室、米国ドローン操縦室、現地ケニアの4か所を軸に展開するリアルタイム軍事サスペンス。どの意見ももっともで「どーすりゃいいのよ?」をhiroも共有。
 
会議だ。責任だ。正義だ。大義だ。大佐、国防相、パイロット、スパイ…誰につくかで見方も変わる。会議室で事件が起きていたのは今や昔。現代は会議室で戦争が起きている。
 
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ドローン・パイロット目線で描いたのが「ドローン・オブ・ウォー」。その背景を描き出した本作。フライトの様子は双方同じ。つまり、これが現実。今回、鳥と虫にびっくり。コントローラーがスマホだという。通勤電車の中でも戦争ができる時代。
 
鍵を握る一人の少女。テロを阻止したい。攻撃すると少女が危ない。議論される仮定の80人の命と少女の命の比較。何の話をしているんだこの人たちは。「世界一安全な戦場」では命の価値を量っている。
 
なんか、狂ってないか、この世界。
 
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ヘレン母さんは使命感の人。毅然とした態度と揺るぎない信念。アラン父さん、またその勇姿が見られたことに感謝。アーロン兄さんは役得かな。
 
キャプテン・フィリップス」で大注目のバーカッド・アブディ。本作でも一番目がいった。目から漂う不安と優しさが、凄くいい。
 
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パンの残り枚数と攻撃までのカウトダウン。この緊張感は未体験。この作品、凄い。
 
決断を迫られた有力者の対応が、英国米国、まったく逆。ブラックすぎて笑っていいのか戸惑う。で、テロを阻止して万々歳ないつものストーリーなのかと思いきや…
 
ラスト間際に埋め込まれたワンカット。ほんの10秒程度。これが入って意味は大きく変わる。
 
テロは許されることではない。ただ、正義って何?
 
 
 
hiroでした。
アーロン・ポールの画像下にネタバレあり。
興味のある方だけご覧ください。
 
 
 
脚本9 映像8 音響7 配役8 音楽7
39/50
 
 
 
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以下ネタバレ
 
 
問題のカット。傷ついた娘を抱いて助けを求める父。通りかかったテロリストたちの車両。テロリストは積んでいた銃器を放り捨て、親子を車に乗せて病院へ運ぶ。時間にして10秒前後。このくだりをとばして、いきなり病院でも事は足ります。これが入ることで、無差別テロを実行する彼らの非道さが薄れてしまう。逆に、起こる前の自爆テロの仮定の80人の命を守るために、1人の少女の命を奪った英米軍の正義が揺るぐのです。しかも、被害の確率を改ざんしてまで実行したパウエルが、自爆テロを阻止した英雄には見えなくなってしまう。とても重要で、スタッフの辛辣な問題提起を感じてしまう10秒だったと思うのです。