前回の続きです。
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葛藤の原因は
これまで、僕は自分の心の中へ入ろうとするものを必死で食い止めてきました。
それが、ついに自分の心まで外の世界に浸食されてしまった。
外からの触手が心にまで届いてしまった。心が闇に染まりかけていたのでしょうか。
その頃の僕は、ようやく、「自分の頭で考える」ということをするようになっていました。
それまで考えてなかったことはないのでしょうが、真剣に自分のことを考えることはありませんでした。
卒業研究もなんとなくクリアし、就職活動で苦労するわけでもなく、それなりに大きな会社へ就職し、おそらくこのまま、結婚、昇進、と続いていけば、何も問題ない人生だったかもしれません。
ですが、このままこの会社でやっていける自信はありませんでした。
それまで、勉強をさぼっていた”つけ”が出てきていました。
周りの先輩たちは、本当にみなさん優秀な方ばかりでした。
(周りと自分を比べて、ここでも少し挫折がありました)
僕はこのままここでやっていけるんだろうか?
不安が広がってきます。
僕って、いったい何なのだろうか?
僕が持っているものは何があるんだろうか?
自分は何がしたいのだろう?
僕には何ができるんだろう?
そういうふうに悩み始めていたと思います。
外からの圧力で、僕は押しつぶされそうでした。
ようやく考え始めた頭で、僕は考えました。
こんな僕になったのはいつからか。
なぜ、あの大学のあの学部に入ったのか。
それは、単に偏差値で選んだに過ぎない。
なぜこの会社に入ったのか。
その延長線上で選んだに過ぎない。
僕は、今の自分になったのは教育や社会のせいだと考えました。
教育や社会のせいで、今の僕になってしまったんだ!
どうすればそれを変えられるのだろう。
その頃、自己啓発本も読み漁っていた僕。
いつしか、高い理想を描くようになっていました。
それを実現するには、何をすればいいのだろう。
休日、僕はボランティア活動に何度か参加するようになりました。
自閉症の子供たちと遠足に行ったり、バザーのお手伝いをしたり。
たぶん、自分なりに足掻いていたんだと思います。
会社の自分とは違う自分を見つけたかった。
それで心を慰めていました。
でも、心の風邪は治りませんでした。
次第に僕は休日にも友人と外出しなくなり、一人、ベッドの上で何もすることなく目をつむり、昼寝して一日を終える。
誰かがドアをノックしても、居留守を決め込む。
今思えば、軽い鬱でしょうか。
その後、親と相談し、入社4年目の途中で実家へ戻ることにしました。
親は当然反対して、僕を説得に来ました。なので、鬱っぽくなってから1年間は続けていましたが、僕はもう、それ以上は耐えられませんでした。
どこかで、親の期待に応えたいという心も持っていました。
自分の今までを捨て去ってもいいのかという気持ちもありました。
でも、苦しかったんです。
だけど、もう明日から実家へ帰れるという日、僕の肩の重荷はスーッとなくなり、肩が軽くなりました。
この決断があったから、今の僕があります。
きっと、心の中の自分が、その時の自分へサインを出していたのだと思います。
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