メリー・コルヴィンの瞳(未) | 新・伝説のhiropoo映画日記

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映画が好きだ。ドラマも好きだ。
そして、イケてる面はもっと好きだ。

そんな好きなものが詰まった日記、読んでみるかい。

                    

2018・英     ★★★☆☆(3.7)

               

監督:クリス・マーティン

出演:ポール・コンロイ  メリー・コルヴィン

                       

                       

2012年にシリアで殉職した英サンデー・タイム紙の女性記者で、映画「プライベート・ウォー」で

ロザムンド・パイクが演じたメリー・コルビンのドキュメンタリー。

                        

コルビンの取材に同行したカメラマンのポール・コンロイによる書記をもとに、

世界に真実を伝えるため紛争地帯を駆け巡ったコルビンの実際の映像と、再現映像を

たくみに交えて描いた。

                    

 

 

ブタ

ずっと見たかった作品。  何とアメバTVで19年の9月に無料配信してたんや。

全然気づかずに、レンタルで見たが、本作は大手のオンラインレンタルでも在庫数1枚なので

めさめさ待った。  (現在はアメバTVでは配信終了しています)

                        

                              

2012年2月13日、サンデータイムズの戦場特派員として表彰されたメリー・コルヴィンと

カメラマンのポール・コンロイがシリアに入国する。

                            

                      

目的は、長期にわたるシリア軍の容赦ない攻撃が続く街、ホムスに残されているシリアの人々の

悲惨な状況を伝えること。

                          

                          

取材後、戻ってきたのは一人だけだった…。

殉職した戦場ジャーナリスト、メリー・コルヴィンが最前線で命をかけて伝えた壮絶なる真実を語る。

                               

                  

精力的にインタヴューするメリー。  彼女曰く、「戦争の状況を伝えるのではなく、その中で

生きている人々の気持ちや状況を伝えるのが使命」だと。

            

横にいる坊主のイケてる面な方が、シリア在住の通訳。

彼は、メリーやポールに何処までも一緒について行き、この人が居たからこそ、ポールは

帰って来れたのではないか?とさえ思える人物。

                           

シリアへのビザが取れなかったので、実は密入国するメリーとポール。

そして、現地で通訳のワエルを雇う事に。

                         

                

何度ともなく出て来る、土管の様なトンネル。 此処を通らないと目指す街には行けない。

                       

本作は、メリーのこれまでの実績を発表する作品ではなく、メリーの最後とその後を伝えるルポ。

                    

2012年2月、内戦中のシリアに入国し政府軍の包囲を受けたにて反政府勢力側の取材を行った。

(反政府勢力と言うのは、自由になりたい市民達の事を国は、そう呼ぶ)

                     

2月21日に最後の中継レポートを行い、翌2月22日、同行していたフランスのカメラマン、

レミ・オシリクと共にメリーは、戦闘に巻き込まれ死亡した。 56歳没。

                      

                                                       

彼女らの死因について、シリア政府は「反体制派の仕掛けた即席爆弾によって死亡した」と主張。

                             

メリーと同行取材し、生き延びたポールはこれを否定し、「政府軍がメディアセンターのあった建物を

攻撃、その際に放った砲弾で死亡した」と主張する。 実際の画像もある。

                 

其のメディアセンターと言うのも、ボロイビルのワンフロア―に各々PCやスマホに向かって

ボソボソ話す記者達の待機場所。  特に何がある訳でもない。

                    

シリア政府は「反体制派」を潰す為に街中を爆破していく。

今、日本に出ている「緊急事態宣言」どころではない。  戸外には全く出れない。

もし出る場合は、全速力でひたすら走る。

             

女性や子供達は、地下の部屋に共同で住み、道路に出ようものなら即座に射殺。

それが、子供であってもなのである。  何日も太陽を見ていない。

                      

ある意味、民衆の暴動を政府は恐れたのであろうと思うけれど、其れを無差別で殺していくという

非道な行為こそを世界に知らしめねばと取材をするメリー。

                           

                 

前日レミと同行記者と再会し、喜びも束の間、翌日のメディアセンターを狙った爆撃で

メリーとレミは死亡する。

               

             

其の爆撃で、ポールの太ももに拳大の穴が開いてしまった。(金属の破片が貫通)

                 

          

レミの同行記者は、もっと悪く足の骨が何箇所も複雑骨折し、立たせると他の骨までどうなるか

分からない状態。

             

勿論、此処にはレントゲンも設備もないが、動画投稿を続けるシリアの診療所の医師のお陰で

命は何とか取り留めた。

              

ポールも身動きが取れない。 記者の彼女は、自分の怪我でお荷物になる事の恐ろしさに震える。

何日間も、こうして寝かされ、医師は手厚く診療してくれるけれど、食料さえ乏しくなる時も。

                 

いよいよダメかと思われた時、朝から銃撃も爆撃も無く静かな時間が流れる。

その日は、超珍しく「停戦」となったと連絡が…。 そして赤十字の救急車が彼らを救助にくると。

                    

しかし、来たのは国連の赤十字ではなく…、シリア政府の赤十字の救急車だった…。

ワエルは声を押し殺して、「絶対に乗ってはいけない」と繰り返したそう…。

             

けれども、これが最後の自分達に差し伸べられた手かもしれないと、心が揺れるポール。

ワエルの声を聴きながら、この救助を断ったそう…。

            

しかし、反対にワエルの声がなかったら、車に乗って、何処かに放り出され誰にも知られずに

死んで行ったのかもしれない…。 乗って見ないと分からない…。  恐怖の救急車。

                          

                   

その後、どうやってポールは帰国できたのか…。  

メリーが亡くなる時より、ポールの帰国物語の方が、本当に死と隣り合わせで怖かった。

                 

            

後に、メリーもレミの遺体も回収されて、今は墓地に眠っているそう。

                     

              

そうそう、メリーが受けた爆撃の数日前に、実は襲撃情報が入り。一旦この場を退去し、

平和な街まで戻った2人。  しかし、実際にその日は襲撃も爆撃も無く、又あのトンネルを通って

戻るんだよね。  で、其れからの爆撃だったのも、何か因果なモノを感じる。

                 

ポールと記者が動けない状況になってから、通訳のワエルは何度となく2人から「逃げろ」と

言われたけれど、最後の最後まで2人を確実に救い出す為に奔走したそう。

                    

            

彼もどうなったかは、是非とも見て貰いたい…。

                      

プライベート・ウォー」とは、全く違う、真に迫ったルポ作品だった。

                     

銃弾がシュンシュン音をたてながら、撃ち捲られる。  それだけでも、本当に怖い。

           

           

勿論、コロナと比べるなんてナンセンスな話だが、家にじっとさえしていれば大丈夫な今。

ね、それ位なんちゃないでしょ。  そう思えるのだが、どうだろうか?

                 

              

1つだけ、大笑いしてしまったのは、ポールがメリーとバディを組む事になり、合う人合う人に

「大丈夫か?」と聞かれたと言っていた。  今まで散々組んだカメラマンとは合わなかったよう。

                  

ポールは「何故そんな事を聞くのか分からなかった」と話しているが、それ位なお方だったのだろう

片方の目を失明して、明るい所でも見える方を下にして眠れば、真っ暗で何処でも眠れる利点があると

笑顔で話していた彼女が印象的であった。

                

                  

本作は、ドキュメンタリーでも、映画でもなく、あくまでも「ルポルタージュ」作品だなって思う。

ホンの数十分でも、戦場での恐怖感が味わえる作品でもある。 やっぱ見て良かった。

 

          

 

                  

 

 

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