2009・米 ★★★☆☆(3.4)
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:イザック・ド・バンコレ アレックス・デスカス ビル・マーレイ
ガエル・ガルシア・ベルナル 工藤夕貴
此処に到着したばかりのコードネーム「孤独な男」(バンコレ)に与えられた任務は…、
「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ…」
空港のソファに腰掛ける2人組の男達の隣に腰掛ける孤独な男。
「スペイン語は話さないのかい?」クレオール人が話し、フランス人が通訳する…。
<クレオール人> <フランス人>
彼らもまた、コードネームで呼ばれる仲間。
手渡されたのは、マッチ箱一つ。
孤独な男は、飛行機に乗りスペインを目指す…
<ヴァイオリン> <ヌード>
カフェでは必ずエスプレッソを2つ注文し、携帯も銃も持たず、仕事中のセックスもなし。
それ以外、全ては謎に包まれたままの名もなき「孤独な男」は、ただひたすら
任務の遂行を目指す。
<ブロンド> <モレキュール(分子)>
スペイン中を巡り、さすらう彼の前に現れるのは「スペイン語は話さないのか?」という
問いを合言葉にする、同じくコードネームを持った、名もなき仲間達。
彼らはそれぞれの情報をマッチ箱の中の暗号に託す…。
マッチ箱の暗号を見た後には、其れを必ず飲み込んでしまう孤独な男…。
<ドライバー> <アメリカ人>
「裏切り者がいる」と告げる仲間に、孤独な男は呟く…。
「自分も仲間ではない」と…。
ありのままの現実と、夢の中を彷徨うかの様な非現実が交錯する世界の末。
荒野の中にあるアジトへ、辿り着く。
想像力が支配(コントロール)の限界を超えた時、その先にあるものは一体何なのだろうか?
《***》
私にとって本作の監督の「ジム・ジャームッシュ」氏は、他の映画監督とは一線をひく、
特別な存在である。
両親が映画好きであった事や、家の前に映画館が有った幼い時の環境等も有り、
映画好きな女子であった。
特に、中学に入ると親友が映画好きで、同じ様に色々な映画の話をしたものであった。
(その頃は、毎日の様にTVで「○○洋画劇場」と言う番組が有り、殆どの映画を
TV見たと言っても過言ではない)
ところが高校に入った頃から、徐々に映画館にも行く様になるのだが、邦画に
傾倒して行くようになり、社会人となると、完全に「邦画な人」となってしまった。
大きい声では言えませんが、当時は邦画もかなりの勢いが有り、私の視線も
邦画オンリーだった為か外国人俳優と言うのは、2~3名のフルネームしか
知らない様な状態でした。
(その間に、映画館で見た洋画で覚えているのは「E.T」ぐらい)
シナリオの勉強を始めてからは、TVドラマも映画も全く見るのが嫌になり、パッタリと
真っ白な時代もありました。
それから1年半位経った時…、本当に偶然、初めて映画館に飛び込みで見たのが、
ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」でした。
その時の私は、信じられない程の衝撃を受け、この作品に酔いしれてしまいました。
- そう、監督は私に「洋画の世界」を開眼させてくれた方なのです。
- (超一方的にですが…
)
- そんな、恩人の様な監督作品は、それからも落とさない様に全て見て参りました。
- ごめんね、ごめんねぇ~! メッチャ前置きが長くなって。
- そんな愛する、ジャームッシュ監督の新作です。
- 前作の「ブロークン・フラワーズ 」とは、真逆な主人公と言っても過言ではない。
- 世俗的誘惑を遠ざけ、ストイックに生きる男のミステリアスな人生を、現実と非現実の
- 交錯する幻惑的なムードを嗅がせつつ、魅惑的で、神秘的なロードムービー風に
- 描き出している。
- 監督作品は、常に何処かに旅する人を描いている様な気がする。
- 例えその目的地が「何ブロックか先」であっても…。
- 本作は、そんな旅作品の集大成の様に感じてならない作品だった。
- と言うのも、思わず「懐かしい~」と唸ってしまう、監督作品で世界に羽ばたいた
- 「工藤夕貴」が20年ぶりに見れた為なのか…。 良くは分からないが。
-
-
台詞は極めて、話されない。
-
だが少ない中でも話される台詞は、より良く吟味されていて、語り継がれる様な
-
台詞になっている。
-
- 「私のお尻好き?」「イエス」「なぜ私を抱かないの?」「仕事中はセックス禁止だ」
- こんなハードボイルドな台詞は、久々に耳にする。
- しかも、其れが孤独な男にピッタリなのだ。
- 撮影は、今回初めてジャームッシュとコンビを組むクリストファー・ドイル。
- ウォン・カーウァイ作品などで知られる名手のカメラは、スペインの風景だけでなく、
- 其処に流れている空気さえも感じられるほどに美しい。
- 孤独な男のに扮するイザック・ド・バンコレは、ジャームッシュ作品は4度目の出演。
- 寡黙な役柄を「仕立ての良い」美しいスーツ姿で、クールに演じる。
- そして到着し場所・場所で行われる、気功をして精神統一される姿が、
- 又凛凛しくも有り美しい。
- 私には、決して嫌いになれない作品では有るけれども、ごく普通のメジャー大作を
- 好まれる方達には、なかなか理解されない作品でもあると思われるので、点数も
- チョッと控え目で御座います。
- ホラー作品は別としても、好きだと感じる作品には、何故かイメージ映像が多かったり、
- 台詞が極力ない状態だったりと、取っ付きの悪いモノが多いのだが、きっとそう言う作品を
- 私自身は欲しているんだろう。
- そう言う作品を撮る監督の中に、確実にジャームッシュ監督も入ったんだなぁ~と
- 本作で確信した。
- 物凄く、私なんかが言える言葉では無いのだが、本作を見終えて一言
- 「大人になったなぁ~」と呟いた。
- 私も、もう少し監督に近づいて、再度見直したい作品であった。
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