フランシスコの2人の息子  カントリーもたまには、えぇでぇ~~! | 新・伝説のhiropoo映画日記

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映画が好きだ。ドラマも好きだ。
そして、イケてる面はもっと好きだ。

そんな好きなものが詰まった日記、読んでみるかい。



2005・ブラジル     ★★★☆☆(3.7)


監督:ブレノ・シウヴェイラ

出演:アンジェロ・アントニオ  ジラ・パエス  ダブリオ・モレイラ  マルコス・エンヒケ



ブラジル・ゴイアス州ピレノポリス郡シチオ・ノーヴォ村。

見渡す限り畑しかないこの土地。  音楽好きな夫のフランシスコ(アントニオ)と妻のエレーナ(パエス)夫婦。

妻の父親の土地を借りて、精一杯小作農をして一家を養うフランシスコ。

貧乏ななりにも次々に子宝に恵まれ7人の子供の親となる。



フランシスコは、子供達には勉強をさせ自分の様な小作農で終る人生を送らせたくは無いと、

取れた作物や爺さんの形見の銃まで売り払い、長男のミロズマル(モレライ)には、アコーディオンを

次男のエミヴァル(エンヒケ)にはギターを買い与え、行く行くはプロのミュージッシャンにしたいと考える。


しかし、フランシスコとて音楽と言えばラジオから流れて来るものしか知らない。

ミロズマルにアコーディオンを与えてはみたものの、何を教えると言う事すら出来ない。

村のお祭りに来た歌い手のアコーディオン弾きに、ミロズマルに教えてくれと頼み込む。

フランシスコの頼みには聞く耳を持たなかったアコーディオン弾きも、ミロズマルの真剣な様子に休憩中に

教えてくれた。  「こんな立派なアコーディオンを持っているんだ弾けない筈がないさ…」と言って…。


サッカーボールさえ貧しくて買えないフランシスコなのに「あんな高価なものを買って、頭がイカレタ」と

村人達に噂される。  エレーナの父親も「そんな物を買う金があったら土地代金を払え」と怒っている。



他に遊び道具も持たない兄弟は、毎日の様に飽きる事無く練習に励み、村の祭りのステージに立つ事もあった。

しかし、高価な楽器に変わってしまった地代を払えず、エレーナの父親に出て行けと言われてしまう。


意を決したフランシスコは、この土地を離れ隣州郡のゴイアニアに移住する事にした。

始めてバスに乗り、街を見る兄弟達。  見るもの見るものが目新しい。

が、雨の中辿り着いた新居は、雨漏りが酷いあばら家であった。


フランシスコも土方仕事に精を出すが、慣れない仕事でどうも上手く行かない。

食べ物も底をつき、ツケでは食べ物も売ってくれなくなった。  

余りのひもじさに乳飲み子を抱えたエレーナはつい涙してしまう。  

それを見たミロズマルは弟と楽器を持ち、往来の多いバスターミナルに行きアコーディオンを弾き歌った。


一人、又一人箱にお金を入れてくれ、バスターミナルではちょっとした兄弟カントリーデュオとして人気者に

なって行く。  金を稼ぎ始めた息子達の様子を見に行ったフランシスコは、一人の男と出会う。



男は、息子達を旅回りに連れて行きミュージッシャンにするとスカウトに現れたのであった。


まだまだ、年端も行かない息子達を手放す事は嫌だとエレーナは反対したが、フランシスコは自分の夢が

叶うチャンスかもしれないとエレーナを説得し旅回りに1週間の約束で兄弟を男に託すのだが…。



フランシスコにも家にも手紙も何の連絡も無いまま、4ヶ月と言う月日が流れて行ったのであった。

もし、息子達が帰ってきたら2度と手放さないと心に誓うエレーナ。

フランシスコもバスを乗り継ぎ捜して見るのだが…。  行方は分らなかった…。

一体、どうしてしまったのだろうか…?  そして、この家族が歩んだ道とは…?






《***》

実在の兄弟カントリー・デュオ<ゼゼ・チ・カマルゴ&ルシアーノ>の苦難の道を父親のフランシスコを

軸に綴る音楽ドラマ。

実際にブラジルでは、絶大なる人気を誇るデュオである。

その苦難の道のりを描いたこの作品は、ブラジルでは歴代興行成績No.1を記録する大ヒット作品になった。



今日、春休みで芋の子を洗う様なごった返したシネコンにかなり早い時間に行ったのだが、チケットを買うのに

30分ほど並んだ。  

とは言うものの、劇場内はそれ程観客も満杯状態ではなく、皆「ドラえもん」目当てであったのだろう。

この作品は、劇場予告で観て是非とも観たかった作品。

子供時代の兄弟デュオの歌声が、清々しく伸び伸びとして本当に聞いていて心が洗われる様である。



勿論、単なるサクセスストーリーでは無い。  

紆余曲折が有り、余りのショックにこの一家に音楽が流れない日々が続く出来事もある。


ラストは、本物の兄弟のステージと長男が生まれ育ったあのあばら家に行き、両親と再会する。

恐ろしい程の人数のコンサート会場で歌う兄弟のステージに両親も上がって来ると言うシーンも有った。

実物のフランシスコが笑いながら言う。  「俺は頭がイカレテいたのさ」と…。



<真ん中の2人が本物の兄弟。両脇の2人が大人になった兄弟役を演じた役者>


兄弟が此処までの人気歌手になるまでには、フランシスコの努力を語らずにはいられないのである。

これも、やはり無償の愛が成し得たものであろうが…。

そう、フランシスコにとっては「当たり前の事をした」だけなのだが…。



邦画作品の「家族」を思い出したりした。  この作品も九州の炭鉱から北海道に移住する家族の話だったが…。


結果的には、サクセスストーリーなので、私にしては泣かずにラストを迎えたが「親ってやっぱ大変だね」と

そう痛感させられた作品でもあった。


幼い兄弟が歌う歌声は、凄く心が洗われる様だが、カントリーはちょっと苦手な私なのでサントラは今回は

欲しいとは思わなかった。


ミニシアター系の作品の為、あまり多くの県で上映は無い様であるが、レンタルでも充分に、ちょっぴり澱んだ心も

スッキリと洗い流してくれる事でしょうあせる



《+++》

いやぁ~、春休みという事で何処もカシコもお子ちゃま連れの団体様で一杯でした。

もう1本、ワンフロアーに向かい合わせに劇場が1つずつあるミニシアター系の映画館にこの作品の後

走ったのですが、何とロビーはお子ちゃまだらけの放牧状態…。


普段は殆どお子ちゃまの影も見ない、落ち着いた劇場なのですが「ラヴ&ベリー」とか何とか言う作品が

上映されていた為に、ほんとに凄い事になっておりました。(泪)


朝から頭痛が酷くて、薬を飲んで行ったにも関わらず全然効かずに、移動した劇場はそういう状態で

何故だか、その映画のプリントがしてあるタンバリンが売店で売っており、一人買うと皆買って、思い思いの

感覚で鳴らしまくりで、仕方が無いのでその場でもう一度痛み止めを服用してしまった。



自宅に帰って、疲労度が何時もの何倍かになっていたのは言うまでも無い。

恐るべし、「ラヴ&ベリー」とタンバリン。叫び