- 2001・アルゼンチン・スペイン ★★★☆☆(3.6)
- 監督:フェト・パエス
- 出演:セシリア・ロス ガエル・ベルシア・ベルナル ルイス・シエンブロウスキー ドロレス・フォンシ
- 42歳のカルメン(ロス)。 マドリッドに在住、容姿端麗の上に頭のキレル才女でもある。
- そんなカルメンが、故郷のブエノスアイレスに20年振りに帰省して来る。
- 最愛の父の具合が非常に悪く、その見舞いと自分の財産分与の書類等にサインをする必要があった為。
- 故郷から遠く離れた地で、女一人で片意地を張って生きて来たせいかカルメンは、冷たい心を持つ人間に
- なってしまっていた。
- しかし、カルメンの心を冷徹にしてしまったものは、それだけではなかった。
- 1976年・アルゼンチンで起きた軍事クーデターの際に、拷問を受けたカルメンは人を愛する心を忘れ
- 肉体的にも肌を触れ合う事が出来なくなっていた。
- しかも、余りの恐怖の体験の為に視聴は異常に敏感になっていた。
ブエノスアイレスに2週間滞在する予定の為に、家族には秘密裏にアパートを借りるカルメン。
壁越しに雇った男女の営みを聞く為に借りたアパート…。
その行為は、カルメンに許されたたった一つの性的な喜びであったのだ。
一日目は、知人のモデルクラブから派遣された男女がやって来たのであるが、事が済み帰ったと思ったら
男性の方が、ドア越しに話しかけて来た。 「玄関が開かないのですが…」
その声に魅入られてしまったカルメンは、「今度から貴方だけ来て頂戴」と告げる。
翌日からは、その若い男に本を読ませるカルメン。 若い男は、グスタボ(ベルナル)。
顔も見せない雇い主の行動に、反対に興味を深めてしまうグスタボ。
カルメンも又、グスタボの声による淫らな本の朗読により、嘗て感じた事の無い情熱を掻き立てる。
幾度かの夜を壁越しに声だけで過ごす関係の二人。
奇妙な緊張感を纏い、どんどんと止め処無く惹かれあってしまう。
しかし、境遇の全く違う2人に残酷な影が、ヒタヒタと近付くのであった…。
【アマロ神父の罪】
- 2002・メキシコ ★★★★☆
- 監督:カルロス・カレラ
- 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル アナ・クラウディア・タランコン サンチョ・グラシア
- 新人の神父・アマロ(ベルナル)は司教のお気に入りで、将来有望株としてメキシコ・アルダマの小さい町の
- ロス・レジェス教会に派遣される。
- いずれは、ローマに修行に行く見習いとして、教区のベニト神父(グラシア)の元に送られて来たのであった。
神父達の身の回りの世話を引き受けてくれているのは、町で小さなレストランを女手一つで切り盛りする
サンファネラ。 サンファネラには、16歳の一人娘・アメリア(タランコン)がいた。
アメリアは、宗教心が厚く熱心に教会の仕事にも参加していた。 新聞社に就職が決まった恋人もいた。
恋人は、一日でも早くアメリアと結婚を望んでいたが、それ程宗教心が無い恋人に物足りなさを感じるアメリア。
そんな、アメリアの前に現れたアマロ神父は、アメリアにとって等身大の神とさえ見える様な存在であった。
アロマ神父に対して、益々憧れの気持ちを膨らませて行くアメリア。
アメリアの真直ぐな気持ちを受け取るにつれ、アマロも又次第に惹かれて行く自分に気付くのであった。
そんなある日、ベニト神父が病院建設への寄付と称して、麻薬密売組織から金を受け取り
又、その組織のボスとも懇意にしている事を知るアマロ神父。
その上、ベニト神父はアメリアの母親のサンファネラと長年の間愛人関係にあるという事。
他の教区のナタリオ神父は、貧しい農民を救う為にゲリラを支援していると言う噂までも…。
そして、それらの事を新聞社に勤めるようになり、信仰の事からアメリアに無下にされるようになった
恋人が記事にしてスッパ抜いた。
その事実を新聞によって知った司教は、慌ててアマロを呼び寄せ、新聞社に圧力を掛け記事のもみ消しと
関係者の処分を要求するように命ぜられる。
余りにも想像していた世界とのギャップ、その上に日増しに募っていくアメリアへの想い…。
ついにアマロ神父は押さえられない衝動の為に、アメリアと肉体関係に陥ってしまう。
アメリアは、違う土地に行きアマロと結婚をして幸せになりたいと考えるのだが、これまでの苦しい修行にも
耐えて、やっと此処まで来たと言うのにそれを投げ捨てる事など考えられないアマロ。
アメリアとの関係も捨て切れないアマロだったが、聖職者への野望も絶対に捨てきれない…。
神に背いた罰なのであろうか…。 更に、非情な運命の渦の中に2人は、巻き込まれていくのであった…。
《***》
身長が168㎝と外国人俳優にしては、背が低い事で私の中の「良い男達」の仲間から外されてしまったが
どうしても、彼の出演している作品は気になる。 是が非でも観てみたくなるガエル君。
(ちなみに、背の低い事は本人も気にしているし、イライジャ・ウッドと同じ身長)
ずっと前から見逃していた「ブエノスアイレスの夜」がようやくレンタル出来る様になったと共に、
DVDの安売りを見つけて、「アマロ神父の罪」と「アモーレス・ペロス」を購入した。
「ブエノスアイレスの夜」
かなり、センセーショナルな上映予告を観た記憶があった。
で、劇場で是非とも観たかったのだが、どうしても観れなくてレンタルを待っていたが、他のオンラインレンタルは
されていたのに、私が使用している所では最近やっとレンタル出来るようになった。
ガエル君のお相手は42歳のかなり年上のカルメン。 しかも、何時の時も顔も合わせずに壁越しの関係。
これは、考えるだけでも相当にえっちぃシチュエーションだよね。
妄想が妄想を呼んで、凄い事になっちゃうんじゃ無いかい?
それも、カルメン側から考えるに(年が近いからでは無いぞ!)もし、本当のマンマの自分を見せて
二十歳そこそこの若いおにーちゃんに嫌われる事はあっても、受け入れられるとは到底思えないし、
幻滅されると考えた時、実際に面と向かう事の恐怖は計り知れない。
でも、壁越しが功を奏したのか、「直に会いたい」と言う気もちがグスタボの方にも膨れ上がってしまう。
そして、ちょっとした悪戯心から壁越しでなく、直に出会う2人。
42歳と言えども、綺麗で容姿端麗だものグスタボだって全然OKになってしまう。
余りにも酷い拷問を受けた為に、人と肌が触れ合う事も出来なくなっていたカルメンの凍っていた心と気持ちが
じんわりと溶けていく様子が良く分る。
カルメン役のセシリア・ロスは「オール・アバウト・マイ・マザー」で、ご存知では…?
グスタボ役のガエル君の仕事は、何とモデル。
まぁ、この際身長の事は置いておいて、モデルとしての仕事をしたポスターが壁にはってあるんだけれど
これが超セクスィ~~でごぜ~ますだ! 関連グッツを売っている映画館なんかには売ってますこのポスター。
色々探したけれど、青い部分が隠されちまってるよ! これしか御座らんかったわ。
まぁ、これでちょうど良いかもね。 私の品格が疑われかねない…。 (そんなモン、全然無いくせに!)
相思相愛になる2人だけれど、そこには驚愕の真実が待っています。
多少は、強引かもとさえ思わせるけれど、真実を知ったグスタボの反応が自然で良かったわ。
誰かと観るには、ちょっとコッパズカシイ作品やもしれません、こっそり一人で観ましょうね。
「アマロ神父の罪」
先ず、言っておきましょう。 私は、何時も言うように神父様の衣装にかなり弱い。 神父様にも弱いのかも。
ガエル・ガルシア・ベルナルの存在を知ったのは、結構遅く「モーターサイクル・ダイアリーズ」で。
これがもう、たまらなく清々しく心の優しい若者で、一発でやられてしまいました。
その後、ガエル君を追い求めて作品を観る事になった作品が、「アマロ神父の罪」でした。
そんな清々しいガエル君が、大好きな神父様役をやっているのですよ! 観ない訳には行くまい。
観賞後の感想は…。 「今まで観た映画の主人公で、最も最低な男…」
もう、既に映画としてガエル君を観る事は出来ずに、「お前なんか人間じゃねぇ~!」とさえ思った男。
そう、「モーターサイクル~」とのギャップが有り過ぎて、私の中では収集が付かない状態でありました。
で、始めてみた時から2年後の昨夜、再度観る事にしたのですが、まぁ一度目の様なショックは
受けませんでしたが、やっぱり悪魔の心を持つ聖職者の仮面を付けた男だと思いました。
まぁ、かなり冷静に観る事も出来たので、アマロ神父も所詮は人の子よのぅ~と言う所までの
落ち着き様でしたが、やはり「今まで観た映画の主人公の最低野郎No.1」の称号は守りきっていると
思います。 まぁ、仕事が仕事だけにね。 そうなっちゃうのかも。
カソリックの闇の部分を描こうという事だったのだろうが…。
「神は我々を見放した…」とでも、言っておこうか?
この作品を見る時は、ちょっと心して観てちょんまげよ!
でも、この作品を観てからは「天使の笑顔で悪魔的な男」を演じたら右に出るものが今のところ
いない役者だという事に気付いた。
そういう意味でも、「キング 罪の王」もピッタシの役でしたね。
明日は、「アモーレス・ペロス」の記事をUPします。
これから観る事に致します。 153分と言う大作ですが、実は未見だったのです。
余りにも評判が良いので、思わず買っちゃったのですが…。 果てさて、吉と出るか凶と出るのか?
お楽しみに…。