世界  中国映画繋がりで  故郷の香り | 新・伝説のhiropoo映画日記

新・伝説のhiropoo映画日記

映画が好きだ。ドラマも好きだ。
そして、イケてる面はもっと好きだ。

そんな好きなものが詰まった日記、読んでみるかい。

世界 [DVD]

2004・中国・日本・仏     ★★★☆☆


監督:ジャ・ジャンクー

出演:チャオ・タオ  チェン・タイシェン  ジン・ジュエ  チャン・チョンウェイ  シャン・ワン



中国の北京郊外にある、北京にいながら世界を回れる・アミューズメントパーク“世界公園”。

パリのエッフェル塔もビックベンも、ピラミッドなど世界各国の建造物が10分の1の大きさで作られている。

そのパーク内で行われるイベントのダンサー・タオ(タオ)は、26歳。

タオを追って、田舎から出てきたタイシェン(タイシェン)は同じパークの警備員。 タオの恋人である。


今日も各国の色とりどりの衣装に身を包んだダンサー達が、一同に集まりショーが始まる。

それは、誰の目にも眩しいぐらいの美しいショーである。


そんな美しくも煌びやかな世界とは裏腹な、建物の裏の世界ではダンサー同士の恋愛や喧嘩・団長の座を

狙う者が入り混じった、ごった煮の様な所でタオは、皆から親しみを込めて「タオ姉さん」と呼ばれていた。

時間があれば、タイシェンと一緒にいるが「何時の日か本物の世界に出てみたい」と言う夢を持つタオは、

結婚して落ち着く気持ちも、中々もてないでいた。


田舎の出の者にしたら北京で働くという事は、中国を出ると言うのと変わらない響であった。

タイシェンの同郷の友人も一旗揚げに、腹をくくって北京に出てきた。  

土木工事の肉体労働の仕事が見つかったらしい。

そんな、労働条件のよろしくも無い北京に他国から、働きに来る者もいる。

ロシアダンサーのアンナもその一人だ。 ロシアには、子供を2人残してきたらしい。

言葉も何も通じないアンナだけど、タオとは仲良く出来た。

しかし、ダンサーよりも高収入の仕事が見つかり、嫌々ながらそちらに移るアンナ。

言葉は分からないけれど、気持ちは分かるタオは、アンナと酒を飲み料理を食べて別れを悲しむ。


何の希望も見出せない気がするタオ。  心の寂しさを埋めてくれるのは恋人のタイシェンだけ。

嫉妬深い恋人を毛嫌いしていた、友人のダンサーの結婚式のパーティーで、偶然見てしまったタイシェンの

携帯メール。

女から「忘れられない」と入っていた。  唯一、信じていたタイシェンも、自分を裏切っていたのであろうか?

タイシェンの同郷から出稼ぎに来ていた友人が連れてきた、息子ぐらいの若い青年。

彼と眺めた空に飛行機が飛んで行く。

「誰があの飛行機に乗っているんですかね?」

「少なくとも、私の知っている人は誰一人乗っていないわ!」小さく微笑みながら答えるタオ。


何時の日か、本物の世界に出れる日がやってくるのであろうか?

あの飛行機に乗って…。

どんな未来が、タオを待っているのであろうか?




【故郷(ふるさと)の香り】



ハピネット・ピクチャーズ
故郷の香り

2003・中国     ★★★☆☆(3.8)


監督:フォ・ジェンチィ   出演:グオ・シャオドン  リー・ジア  香川照之



中国の田舎の村で、北京の大学に行く為に見送られてから10年の歳月が経つジンハー(シャオドン)。

高校時代の恩師の為に村に帰って来た。 

しかし、用事も済み北京に帰ろうとしていた矢先、幼馴染のヌアン(ジア)に道端で出くわす。

実は10年も帰ってこなかったのは、ヌアンに会いたくなかった為かもしれないと、北京への帰省を遅らす事にする。


10年ぶりに会ったヌアンは、見るからにやつれ生活に疲れきった様子であった。

ジンハーは、ヌアンは街に嫁に行って村にはいないと思っていた。

少しずつ、思い出すヌアンとの色々な出来事。

次の日は、雨だったので外で仕事が出来ないだろうと、ヌアンの家を尋ねる事にしたジンハー。

なんとヌアンは当時とても嫌っていた、聾唖のヤーバと結婚し、6歳の女の子を儲けていた。



昔、ヌアンは踊りも歌も上手な美少女であった。  それを見詰めるだけでも嬉しかったジンハー。

村にある日、大きなブランコが作られる。  老いも若きも村で唯一の娯楽のブランコに夢中になった。

その後に村に劇団が訪れる。 村中が劇団に夢中になったのは言うまでも無いが、特にヌアンは夢中だった。

通い詰めるウチに劇団の花形の男優と良い仲になるヌアン。 初めての恋である。

しかし、移動劇団は違う街に行ってしまう。 男優はヌアンを連れて行かずに「きっと迎えに来る」と言いながら

去ってしまった。

ヌアンの失恋は、ジンハーの失恋でもあった。

幾ら待っても劇団はやって来なかった。  自分がヌアンを守ると誓い・約束するジンハー。

約束の証に思い切り漕いだブランコの綱が切れて、悪い事にヌアンは足を骨折してしまい、普通には

歩けなくなってしまう。 もう、踊る事もできないのだ。


北京の大学に合格したジンハーは、必ず迎えに来るからとヌアンに約束する。

しかし、足の悪くなってしまったヌアンは、ジンハーとは釣り合わないと来る手紙も読まずに破り捨ててしまう。



生活に疲れて、所帯じみてしまったヌアンに昔の面影は、今はもう見られない。

黙々と働く聾唖の夫と言葉よりも手話を先に覚えてしまった娘の3人暮らし。

尋ねて来た、ジンハーを家に快く迎え入れるが、各々の心の中には、本当の事が言えぬ秘密が隠されて

いたのであった。


何故、あれ程までに嫌っていたヤーバとヌアンは、結婚したのであろうか?

本当の幸せとは、何なのであるのか?

最後に幸せを掴んだ者は、一体誰なのであろうか?




《***》

新聞その他で、良質の作品として紹介されていた「世界」をレディースデイに見て来た。

やはり、人気の韓国映画でもなく有名な俳優が出ている訳でも無いので、小さな劇場も案外空いていた。


私の今までに見た、どの中国作品とも全く違う作品であった。 意外な感じすら受けた。  

イベントのショーの極彩色豊かなオープニングは、ファッションショーを思い出さされ、一種一風変わった興奮が

私を包む。

                                  

学生の時にデザイン科だった為、幾度と無くファッションショーを見に行く機会があった。

それは、コンサートや芝居とは又違う、音と視覚の生み出すエキサイティングな空間が生まれる異次元に異様に

興奮を覚えていたのを今日は思い出した。

のっけから、そんな始まり。  なのに、祭りの後の寂しさのような楽屋裏の生活が、映し出される。

しかも、世界公園は中々良く出来ていて「一度行ってみたい物だ」と思うほど。 (実際に実在します)


そんな、世界を毎日見ながら過ごしているのにタオは北京以外から出た事は無い。

本当の世界は全く知らない。 そんな、やるせなさと言うか、倦怠感のような物が付いて回るこの作品。

退屈だとも言えると思う。

でも、私の知らない現代の北京やその周辺の町並みをこれでもかと見せつけるこの作品。

面白いとは言いがたいが、妙に興味深い感じがする事には、頷ける。

ラストの皮肉な終り方は、良かったなぁ~。


タオは、余貴美子にちょっと似ている感じ。

ファッションショーを思わせるステージをこなすダンサーだけあって、皆美しい!

華やかな世界とその裏の現実とのコントラストの面白さは、見せる感じもあるがレンタルになっても、気に

なった方だけが、見てください。  特にお勧めは致しません。

でも、こんな中国もあるんや!と、ちょっと興味は出たかも…。



「故郷の香り」

そんな「世界」の真反対な、私の思っているままの中国映画。

監督は「山の郵便配達」「ションヤンの酒屋」の監督である。  どちらの作品も大好きだ。

この監督の作品には、抑えた水墨画の様な景色が見える色使い。

上から何か施したりしている訳では無いが、何処か「もやった感じ」を画面全体から受ける。

その色合いが、心に誠に優しいのだ。

そんな優しい色合いに包まれた作品は、結構辛く、悲しいストーリーを秘めたりしているのだが、色合いに

抑えられ真綿でくるまれている様に、私に聞かせてくれる・見せてくれる。


どれも決して、涙無くしては見れない様な作品では無いのだが、優しい気持ちにしてくれる分だけチクリと心に

突き刺す物がある。


たった一人、参加の日本人・香川照之。 この人は結構中国映画には出演している。

しかも、かなり良い感じ。 この作品でも東京国際映画祭の俳優男優賞を取っている。
ハリウッドで、成功するのも大変な事だが、海外の作品で日本人が頑張っているのはとても嬉しい。

もっと、評判になるべきだと思う。


この作品も、内容的には面白い楽しい作品では無いが、見終わると何故か心がホワンと温かくなり、特典映像も  

何もかも見てしまっている。



日本に最も近い大国なのに、詳しい事はまるで知らない国。 中国。

中々取っ付きは悪いし、手が伸びにくいが見ると本当に良質の物が多いと思う。

今年に限っては、そう本数的には中国の物は見なかった気がするが、もっと良い物とも出逢いたいと期待し

確信もしている。



《+++》

何とか起きれたけれど、ちょっとヘロヘロ状態です。

でも、平日のタワーレコードで思い切ってギドク監督の「魚と寝る女」を買ってしまった。

DVDはレンタルが無いしビデオは、絶版みたいであんまり置いている店が無い。

もう、買わへんでと「サルサ」のCDを2枚とロドリゲス監督のチョイス版を1枚購入。

空いている時に行くと、ゆっくり見れるけどこれも、あれも欲しくなるからいけませんわ!


そうそう、チョンウソンの「トンケの蒼い空」も前売りをゲット。

ポストカードは、もう品切れだったけど平日にゆっくり見に行こ~っと!

明日から師走と言うのに、全く走る様子すら見せない私は、12月は体重の増減の話が書けそうにも無いぞ!

あしからず、ご了承の程を…。  ポリポリ…(汗)