磯田道史氏の心に響く言葉より…
加賀藩は数学の盛んな藩であったが、
近世武士の世界は世襲の世界である。
算術は世襲に向かない。
個人の出来・不出来が如実にあらわれるからである。
親は算術が得意でも、その子が得意とは限らない。
したがって、藩の行政機関は、
幕府の勘定方も同様であった。
算術に優れた者が「養子」のかたちで入ってきていた。
そうしなければ役所が機能しないからである。
実は「算術から身分制度がくずれる」という現象は、
それまで、ヨーロッパでも日本でも、国家や軍隊をつくる原理は「
ところが、近世社会が成熟するにつれて、
近代官僚制というものである。
官吏や軍人は「生まれによる世襲」ではなく「
最初に、この変化がおきたのは、ヨーロッパ・日本ともに「算術」
18世紀には、数学が、
軍隊でいえば、「大砲と地図」がかかわる部署である。
フランスでもドイツでも、軍の将校といえば貴族出身と相場がきまっていたが、
弾道計算や測量で数学的能力が必要なこれらの部署は、
余談ではあるが、ナポレオンが砲兵将校であったことは興味深い。
貴族とはいえ、
そして結局、平民出身者の多い砲兵をひきつれて革命側につき、
日本でも、同じことがいえる。
18世紀後半以降、幕府や藩は、
百姓や町人の出身者に扶持・名字帯刀・
武士と百姓町人の中間身分の存在が政治に大きな影響をあたえるよ
百姓であったはずの庄屋は幕府や藩の役人のようになっていく。
彼らはソロバンも帳簿付けも得意であり、実務にたけていた。
そして、
さらにいえば、明治国家になってからも、
『武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)』新潮新書
武士の時代にあって、
ITやAIには、数学的(理系的)センスが必要だ。
これは、経営においても同じで、専門的な知識は必要ないが、
経営には数字やロジックが絶対に必要だからだ。
マイクロソフトのビル・ゲイツも子供の頃から、
アメリカの長者番付にランクインする人の多くが、
成毛眞氏は「もっと理系のセンスを磨け」という。(AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である /SB新書)より
『サイエンスやテクノロジーに無頓着であることは、命にさえかかわってくるわけだ。
では、どうすればいいのか? シンプルに言おう。
STEM+Aの「STEAM」を学べばいい。
STEMとは、 サイエンス(科学)の「S」 、テクノロジー(技術)の「T」 、エンジニアリング(工学)の「E」 、マセマティクス(数学)の「M」 を並べた造語だ。
今やアメリカの教育界でSTEMは常識になっているが、これに「A」を加えた「SETEAM」という言葉も生まれている。
Aはアート(芸術)のAだ』
旧来の仕組みが大きく変わる現代、たとえ文系の人であろうと、理系的素養は必須だ。
大変革の時代、理系的センスを磨きたい。
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