大阪大学大学院教授、石黒浩氏の心に響く言葉より…

 

 

人はなぜ働かなければならないのでしょう。

 

もし、もっと高度な技術が実現して、労働をAIやロボットに任せることができれば、人は働かなくてもいいと僕は思います。

 

その分「自分とは何か」「人間とは何か」「なぜ生きているのか」といった基本問題について議論ができるようになる。

 

 

それが、本当の人間としての生き方だと思います。

 

そうすると、さらに踏み込んで「それぞれの人間の価値とは?」とか、「障害者の意味とは何か」といった人間の定義を考える人が増え、全員が役割を果たせる社会に近づきます。

 

 

あと50年で日本の人口は今の7割くらいになりますから、仕事も約7割でよくなるのではないでしょうか。

 

「仕事の能力が高い=優秀」「仕事の能力が低い=ダメ」という構図も、早晩崩れることでしょう。

 

 

その中で障害者の役割はますます重要になります。

 

新しい技術を生みだすきっかけになるからです。

 

たとえば、眼鏡は視力が低い人のために生みだされたように、障害のある人の悩みを解決しようという営みが、イノベーションを生み出すケースはとても多いのです。

 

これからは社会において、「フロンティア(最先端)を示唆(しさ)、提供してくれる貴重な存在」と考えられる傾向が強まるでしょう。

 

 

また、家庭用エレベーターが障害者施設から設置されていったように、障害者は新しい技術を受け入れる優先順位が高い、ある意味で特権を持ったグループだと言えます。

 

たとえば、もしチップを頭に埋め込む技術が、危険性なく実用化したとして、最初に体験できるのは、脳に障害がある人でしょう。

 

彼らは最先端の技術をいち早く取り入れる優先権を持っていると言ってもいい。

 

 

人間のロボット化、アンドロイド化は障害者を先頭に進むことになるのは間違いありません(もちろん、人体への安全性が実証されてからの話です)。

 

すると、通常の人間を超える人が出てきます。

 

そんな未来を予感させてくれるのがパラリンピックです。

 

 

実際、科学技術の進化によってパラリンピックの選手がオリンピックにも出場するようになりました。

 

ひと昔前だと考えられないことでしたが、彼らの記録がオリンピック選手を超えるのも、もはや時間の問題です。

 

実はこれまでも障害者が未来を築いてきたのですが、今後は技術革新が加速度的に早まっていくのに合わせて、その傾向はますます強くなるでしょう。

 

 

枠を壊して自分を生きる。: 自分の頭で考えて動くためのヒント (単行本)』三笠書房

 

 

 

 

 

『現代の人間について考えると、ほぼすべてが技術と言ってもいい。

 

実は今、生身の体だけで行っていること、完全な自然状態はほとんどないのです。

 

たとえば、誰もが服を着るし、靴を履かなければアスファルトの道路は歩けないし、目が悪い人は眼鏡やコンタクトを使い、スマートフォンを見ながら車やバスや電車に乗って会社や学校に行きます。

 

その建物も人工物です。

 

都会だけではありません。

 

川は護岸されていて、海は海水浴場に人が集まり、山は登山道が整備されています。

 

あるいは僕たちが飲んでいるもの、食べているものも、ほとんどすべてが人工物です。

 

家の中でも僕たちは家事労働を助ける家電製品やテレビやコンピュータなどの情報家電とともに暮らしていて、おそらく9割以上は技術に頼って生活しています。

 

そして歴史的な観点からでも、僕たちはこれからも人間として「機械との融合を図る」という道へ進んでいくことは間違いありません。

 

これからの人間はどこに行くのか。

 

さらに技術の部分が拡大し、相対的に動物的な部分が小さくなる…』

 

 

石黒氏は200年後の社会は、「人生の9割が学びの期間になり、1割が労働」という時代になるという。

 

コンピュータが高度化し、仕事や様々な局面において、ますます高度化した機械を使いこなすスキルが要求され、学ばなければ役に立たなくなるからだ。

 

そして、能力の高い人は他の人より早く教育を修了できるので、仕事で貢献できる期間が長くなり、社会を変革し、進化させることができる。

 

 

新しい時代はこれまでの価値観が真逆になるようなことが多く起こるようになる。

 

AIやロボットの進化により多くのことが劇的に変化しているからだ。

 

 

「リープフロッグ」(カエル跳び)という言葉がある。

 

新興国では固定電話の回線が未発達だったが、それが功を奏し一気にスマホの時代が到来した。

 

片や、日本のように固定電話の回線が日本中に張り巡らされている国では、そのインフラを使わなければならないため、一気にスマホの時代には突入しないといった矛盾が起きた。

 

中国では偽札が横行し現金の信頼性が低いので、一気に電子マネーの時代となった。

 

しかし、日本では現金の信頼性は高く、しかも日本全国にあるコンビニで簡単に現金を下ろせるので、電子マネーへの転換が遅れてしまった。

 

ウーバーやエアビーアンドビーなどの新しいサービスが日本で発展しないといった、現象もまさに同じだ。

 

日本でタクシーに乗ってぼられることはなく、宿泊料金もそこそこ安いからだ。

 

この失われた20年に他の国とITやAIで差がついたのもまさに、この現象が大きく影響を与えている。

 

大きな不満がないところからは革新的な技術は生まれない。

 

 

自らの学びを多くし、時代の変化を乗り越えたい。

 

 

 

 
 
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