12月の俳句

 

 京都の12月の句会に六句出句させてもらいました。

 

●短日に 余韻短き 六つの鐘

(日が短く、暮れ六つの鐘の音もすぐ消えてしまいます)

 

●井戸水の 温もりにさす 寒椿

(地下水は一年中同じ水温なので、夏は冷たく、冬は暖かく感じます。寒い冬に凜として咲く寒椿をいたわる句です)

 

●枯れ枝の 木洩れ日に舞う 冬の蝶

(冬の枯れ枝がつくる木洩れ日を見ると、少し寂しい気持になりますが、そこに冬蝶が飛んでいると少しホッとします)

 

●一輪で、舞妓もかすむ 寒椿

(お座敷に寒椿があると、一輪あるだけでもでも、そちらに気持が向いてしまい、舞妓さんへの気持が薄らいでしまいます)

 

●着ぶくれて弾み止まらぬ幼稚園

(前田普羅の とび下りて弾みやまずよ寒雀 という冬毛で鞠のようになったふくら雀を謡った句のパロディーです)

 

●風花に 逝き人の文 宙(そら)あおぐ

(風花は天からの手紙のように感じます。身近な人が昇天した後、最初に風花を見た人の様子を詠んだ句です)

 

 冬は生きものは静かになりますが、そんな中で、確り咲いている花などを見ると、少し強さを感じます。また水や太陽は、冬も、確り季節感をつくってくれます。