食マンガにみる「おひとりさま」の変化 | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。


今夜から「孤独のグルメ」シーズン3が始まりますね
またあの松重“五郎ちゃん”豊の「うん、正解」が聞ける!



このドラマの原作本始め、「めしばな刑事タチバナ」しかり、
食モノマンガはすっかりと一大ジャンルを築き上げました。
(わたしも記事にしたなあ )


そして次のフェーズに移行した、と言っても過言ではありません。



それに気づいたのは、先日出会ったこのマンガのせいです。




広野ゆうなのフーテンひぐらし-ワカコ酒

「ワカコ酒」 新久千映


帯にある通り、村崎ワカコ26歳(独身ひとり暮らし)が
夜な夜なひとり酒&魅力的な肴を楽しむマンガです。



このマンガで特徴的なのは、ワカコさんのタッチはシンプルだけど
食べ物がとてもリアルに美味しそうに描かれていること。
ほんとうに、美味そうです。


そしていちばんの特徴は、ワカコが声を出すことは
注文時以外はほとんどないところ。

このモノローグですすむというかたちは「孤独のグルメ」に近いでしょう。



広野ゆうなのフーテンひぐらし-ぷしゅー


しかし、メニューの組み立てに全神経を使い、悩み、時に失敗し、
だいたいにおいて食べ過ぎている井之頭五郎
と違うのは、


まあまず酒が好きということと


基本的に「ひとつのお酒にひとつの肴」で
ちびちび、ゆっくり、丁寧に酒と肴を味わうところ。


そして逡巡や悔恨はほぼなく、周囲を気にすることもない
徹底したマイペースであるというところ
です。


気ままな独身男とはいえ、意外と世俗的な五郎ちゃんにくらべ、

ずいぶんと俗世離れしたアラサー女子。



というわけで姿勢的にはかなりハードボイルドなのですが、
ひと口ずつ料理を味わい、ひと口お酒を口にはこんでは
至福の表情(わかりづらいけど 笑)を浮かべる姿をみていると


わーっとたくさん飲んで食ってしている自分がもったいない、と思います 笑



広野ゆうなのフーテンひぐらし-ひとり丁寧に
そら豆とむぎ焼酎



こうしてひとりでカウンターに座り、珠玉の一品と1杯の酒で
携帯もいじらず本も読まずおしゃべりもせず、
「味わう」ことに集中するってすごい楽しそう、やってみたい。


最近ひとり飲みを覚えた身としては余計にね!



ワカコは和洋中どれもいけますけど、
主に好むのが季節性の高い和食の肴ってのもまた、渋くていいです。



広野ゆうなのフーテンひぐらし-あぶり鯖
このシーンのせいで、酒場で炙り〆サバ見つけたら必食になりましたよ



…というわけで五郎ちゃんよりよほど男前なワカコです。



すこし前までは、女性がひとりで杯を傾けるというのは
なかなかに敷居の高い行為であり、人によっては
「女ひとりで飲むとか、さみしいオンナに見えちゃいそうで…」と
他人の目を気にすることも多々あったわけで。


たまにメディアで描かれる女のひとり酒は、バーでカクテル、とか
失恋でしこたま酔う、みたいな、アクセサリーか「うさ晴らし」にしか
使われてなかったし。



それが、
色恋にもあまり興味がなく、従って酒肴がそこに絡むこともなく
女ひとり酒をこうして熟練のオヤジのごとく純粋に楽しむマンガが
でてきた
って、なんか時代の流れなんだなあと思いましたよ。



そして新進気鋭の食マンガのもうひとつ、
「お取り寄せ王子・飯田好実」と比べると
もはや男女逆転、という隔世の感も感じるよ!


徹底したインドア、毎週おうちにお取り寄せが届き
わくわくしながら料理しキャピキャピとリアクションしながら味わう飯田くん。


かたや会社帰りにフラリと1人で酒場へ、酒と肴で黙って楽しむワカコ。



唯一共通してるのが「他人との関わりにあまり興味なし」というところか 笑
これまた現代的なのかもしれないねー。



呑み助女子はもちろんのこと、ひとり飲み好きな男子にも、
あまりお酒は得意じゃないけど季節のうまいものを食べるのが好き、な人にも
おすすめのマンガでやんす。




ワカコ酒 1 (ゼノンコミックス)
新久 千映
徳間書店 (2013-05-20)


おとりよせ王子飯田好実 3 (ゼノンコミックス)
高瀬 志帆
徳間書店 (2013-05-20)