■[参考資料]HTNの平成四年四月一二日付供述調書
供述調書
住所 金沢市XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX室
職業 トラック運転手
氏名 HTN
昭和三九年二月一七日生(二八歳)
右の者は、平成四年四月一二日金沢西警察署において、本職に対し、任意次のとおり供述した。
一
私は、今言ったところに住み
市内二口町にある
市場急配
という運送会社のトラック運転
手として働いています。
二
ところで
同じ会社の運転手仲間
である
廣野秀樹
が去る四月一日の晩
AAさん
という女性を殴るなどして
怪我を負わせたのですが
このことについては 翌日に
会社の者から聞いて知って
おります。
被害にあった
AAさんも
私や廣野と同じ会社で
事務員をしている子で
よく知っているのです。
三
それで
警察の方から
私と廣野との関係 それに
廣野とAさんとの関係
などについて お尋ねですから
私の知っていることを話します。
廣野ですが
あいつは私と同じ中学校
の出身で
一年後輩になり
その関係で前々から知っている
男です。
廣野は 能都町宇出津の
出身で
私は 同じ能都町間脇の
生まれの者で
二人とも能都中学校を
卒業しているのです。
今の会社へは 私の方が
廣野より先に入社している
のですが
あいつが入ってきてから
後輩という間柄から
何度か
メシでも食べに来い
と誘っていたのです。
四
廣野は
離婚して一人身という
ことも聞いていたので
声をかけていたのですが
確か
今年の一月頃に
家に遊びに来た時に
はじめて
AAさんのことが
好きだ
という事を廣野の口から
聞いたのです。
一月のいつ頃と言われても
自信は無いのですが
仕事が終ったのが
二人同時頃の時で
廣野に会社で声をかけ
私のアパートに連れていった
時のことでした。
五
この時 廣野は
Aちゃんのことが好きやけど
何を言っても
はっきりした返事をくれない
というような内容のことを
私に言ってきたのです。
廣野は
Aさんが煮えきらない
ということを私に言いたかった
のかもしれませんが
私は廣野に
簡単にはいかないぞ
といった意味のことを
廣野に伝えたはず
です。
というのも 私は
そこら辺で 遊び歩いている
ような女ではなく
自分の考えをしっかりと
持った 芯の強い女
との印象を Aさんに対し
て持っていたからです。
六
また この時
私は 廣野に対して
そういえば 「お嬢」は
「安」と少し付き合っていた
らしい
との事も話しております。
「お嬢」とは
もちろん AAさんのこと
で、私は そのように 彼女のこと
を呼んでいたのです。
また、今言った 「安」とは
以前一緒に働いていた
YSK君
のことです。
私が この事を廣野に話した
のは
特別 廣野を
恐(ママ)らせるつもりで言った
訳ではなく
廣野が
あんまり「お嬢」のことを
言うので
何げなしに出たのです。
「安」と「お嬢」の付き合いに
ついては
「安」本人の口から聞いた
のですが
「安」では そんなに
親密な交際ではない
ような言い方をし、短かい
付き合いだったようでした。
廣野自身この事を
きいて どう思ったか知り
ませんが
何度も言うように
特別な気持ちがあって
言ったことではないのです。
七
そして その当日
廣野が あまりにも
「お嬢」のことを
気にかけていたので
私は 廣野に対して
俺から 「お嬢」に電話を
してやろうか
と言い、廣野がいる場で
「お嬢」の家に電話をした
記憶があります。
私が このように廣野に
言ったのは
好きにしろ、嫌いにしろ
本人同士なら
面と向かって言えないこと
もあるだろう
と思い
俺が 聞いてやるつもり
で 自分のアパートから
「お嬢」の家へ 電話をした
のです。
しかし、この時
電話に誰も出なかったか
あるいは
「お嬢」が留守だったか
忘れてしまいましたが、とに角
「お嬢」とは直接話をする
ことができなかったのです。
問
廣野に対し、Aさんとの
関係について けじめをつけろ
というような事を言っていません
か、
答
私自身 そのような
意味のことを廣野に言った
記憶はありません。
ただ、先程も話したように
「お嬢」は
遊んでいる女ではない
ようだから
簡単にひっかける
という訳にはいかないよ
といった意味のことを言い
本当に好きなら
真剣にやれ
という程度のことは
言ったかも知れません。
ですが、今言われたように
けじめをつけろ
とか、
はっきりさせろ
などと決めつけたような言い方
は、廣野に対して言った
覚えはないのです。
八
それ以後は 会社で
廣野と顔を合わせても
「お嬢」とどうなっている
と聞いてもおりませんでした。
お互いに大人であり、男女の問題
に深入りしたくない
との気持ちが 自分にあったから
です。
しかし、今考えてみれば
廣野自身が そこまで
思い詰めていた
とすれば
私が何げなく言った
「お嬢」と「安」のこと
がひとつの原因であったのか
とも思っているのです。
そして
そんな事になる前に
何で もう少し相談を
してくれなかったのか
との残念な気持ちもあるの
です。
九
「お嬢」は
現在 県立中央病院に
入院中で
意識不明の重体との
ことですが
彼女は
仕事もよくできるし
よく働く女の子で
一刻も早く治って復帰
してほしいと思います。
廣野に対しては
自分の罪は罪として
これを償い
また 社会に復帰した時は
先輩として何かと相談にも
乗ってやりたいと思います。
HTN
右のとおり録取し読み聞かせたと
ころ誤りのないことを申し立て署名捺印
した。
前同日
金沢西警察署
司法警察員
警部補 村元康夫