「感染前の2019年㋃第4週よりも53%多く」の「53%」の元々の出典は | 千葉こうきのブログ

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  地元紙が、「弘前管内感染拡大 まつり影響 可能性大」(6月1日付「東奥日報)、「弘前さくらまつり影響 感染拡大の人流生む 県が検証」(6月1日「陸奥新報」)と報じておりました。これら記事の中で、「コーデネーター3人が国のデータなどを基に分析して取りまとめた。…弘前駅の県外からの滞在人口は感染前の2019年第4週よりも53%多く、2次医療圏の病床使用率は5月23日時点で70%超えた」(6月1日「陸奥新報」)。また、「ビックデータを活用した内閣府の情報提供サイトの統計を基に移動人口を分析。4月第4週に弘前駅を訪れた県外居住者が新型コロナ流行前の2019年と比べて、53%増かしたと説明」(6月1日付「東奥日報)と。

 そこで、「53%増」と根拠となった「内閣府の情報提供サイトの統計とは」と考えておりましたら、丁度、安藤はるみ県議からその資料をいただくことが出来て、それが「Ⅴ-RESAS」からのデータだとわかりました。早速、そのHPへ。

 

 

  なるほど、「青森県の滞在人口の動向」のグラフが有りました。説明として、「このグラフは都道府県および代表観測地点の滞在人口の動向について、2019年同週比を表しています」と。さらに、弘前駅だけでなく、県全体、青森駅、五所川原駅、下北駅、新青森駅、八戸駅、本八戸駅、三沢駅についても、その数値が示されておりました。また、グラフだけでなく。数値をエクセルでも提供しているので、自分でグラフを作成することもできます。

  早速、県内の各駅について、2019年と比べて、今年の4月・5月、県外からの滞在人口の動態がどうであったのか、グラフ化してみました。ただし、その数値が、下北駅では4月第2週が約1917%増、三沢駅では4月第5週が約325%と、あまりに数値がかけ離れていたので、この二つの駅は除外しました。

   弘前駅については、4月第4週目が53.26%ですが、本八戸駅、青森駅、新青森駅については、4月第2週目が最大値で、各141.62%、54.10%、138.39%となっております。五所川原駅については、4月第3週目が最大値で、25.00%。4月は、各駅で滞在人口が増加したということになります。

 

  ところで、この数値の「出典」は、「Ⅴ-RESAS」のHPでも示しているように、「株式会社Agoopの流動人口データ(GPSデータを元に推計した人口換算値)を元に集計」したもで、データ概要として、「スマートフォンの特定のアプリケーションから、ユーザの同意の上取得したGPSデータを昼夜間人口をベースに人口統計化したデータ」としておりました。

  GPSデータを用いた流動人口の有効性ついては、「2019 年6月 東京都における流動人口データの有効性の検証 総務省 統計委員会担当室」で、明らかにしておりますが、「GPSデータはアプリユーザーの属性に依存することから、標本の偏りが発生しやすいことを理解した上で、利活用を進めていくことが肝要である」としておりました。なるほど、下北駅では4月第2週が約1917%増、三沢駅では4月第5週が約325%と、あまりに数値がかけ離れていました。

  また、「2019年と比べて」という場合、「GPSデータはスマートフォンの特定のアプリケーションの属性に依存する」とのことですから、コロナ前の2019年とその後の2021年のスマートフォンでのGPSデータの活用状況が、ほぼ同一であることが前提となるかと思いますが、色々調べましたが、分かりませんでした。なお、同じスマートフォンでも、株式会社ドコモのモバイル空間統計は、基地局データを使うことから7600万台(2019年)からのデータになるそうです。

 とにかく、データを活用する場合、出典まで探り、よく吟味することが必要なのでしょう。

「2019 年6月 東京都における流動人口データの有効性の検証 総務省 統計委員会担当室」https://www.soumu.go.jp/main_content/000730390.pdf