クリスマスイブ・・・
ナニーとともに義母が帰宅した。
ナニーと久々の再会。
感動の再会だった。。
私はナニーと抱き合い
久々の再会を喜んだ。
この後、ナニーとリビングで団欒するのだが。。
やはり以前とは随分違っていた。
義母の話だと
ナニーは痴呆症気味だという。。
忘れてしまって
言葉にならなかったり
よくわからないことを口走るのだとか。。
多分、義母は知識があまりないからなのか
はたまた自分の母親が痴呆症なのが受け入れられないのか
間違えたり
わけのわからないことを口走るたびに
喧嘩腰になる。
ナニーも言った言わないで喧嘩腰になる。
以前義母には
痴呆症の初期の人は
自分が痴呆症だと認めたくなくて
アグレッシブになることが多いので
聞き流したり
相槌を打ったりして
間違いを指摘しないほうがいいと
話をしたことがある。
この話は私の父の話だったのだが
どうも忘れているようで
まともに切れている。
孫や私たちにはよく見てもらおうと思ってるから
まともなのだろうけれど
自分の母親となると
自分の感情が抑えられない義母。
私なマージーの時に
義母のあまりの態度に驚いたが
どうも
自分の親も大差ない様子。。
ちょっとイライラ気味にナニーに話す義母。
あんなに
自分の誕生日をナニーと一緒にお祝いしたいと
言っていたのに
なんだかその話が本当なのか?と
疑いたくなるような接し方。。
まあ、でも家族なんだし
そういう感じでいつも対応してるのかもだから
私が口出すことじゃあないけども。。
でも、そう思うと同時に
私の父のことと
どうしても被ってしまって・・
なんだかちょっと複雑な気持ちではある。
私の父は入院中の後半は記憶もおぼろげで
ボケたことを何度も言っていたし
変な行動をとることもあった。
それでも
父の脳梗塞がこうさせてるのは知っていたので
なるべく本人の感情を傷つけないよう
笑い飛ばしたり
相槌を打ったりしながら
父が劣等感なく普通に過ごせるよう努めた。
最後の方は自分で
「ボケて自分でもようわからん」と言い出した。。
そんな風に力なく言う父を
私はとても悲しく思った。
「俺は間違ってない!」そう言って怒ってる父の方が
何倍も安心したし、
まだ大丈夫なんだと思えて嬉しかった。
だから父が変なことを言うたびに笑いながら
「そうね。そうね。
お父さんの方がなんでも知ってるから
お父さんがそう思うならそうなんだろうね!」と
父を傷つけないよう
よくカバーしてた。。
まあ、他人に対する誤解とかがあった場合は
優しく訂正してあげたりしたけども。。
とにかく言い方に気をつけたのは確か。
そんなことに気をつけてたのは
父に傷ついて欲しくないと言う思いとは別に
父にはいつものように偉そうにしててほしい・・
そう言う願望も多少あったのだと思う。
今考えれば
父とのあの噛み合わない変な会話も大切な思い出だ。
当時はそんなこと思えないほど必死で。。。
記憶や認識力が
少しでも良くなればと
本人にはわかりづらいように
隠れて色々と計画したもんだ。
私は父を誕生日会に呼びたいのは思はなかったが
父が生きてる間に出来る限りの事はしたいと思ったし
父の最期を看取りたいとは思った。
私のメンツなんて二の次。
だから父が病院で迷惑をかけると
他人にどう思われようと
頭を下げに行ったし
それを苦とは思わなかった。
まあ、ちょっとは本人に文句は言ったけども。笑
「病院では多少嫌なことがあっても我慢して」と。。笑
まあ、本人は全く聞く耳持ちませんでしたが。。汗
他人に迷惑をかけたり
変なことを言っても
それが今の私の父で
今私が助けたい人だった。
誰に何を思われようと父は
これが私の父。
若い頃なら
これを恥ずかしと思うのだろうが
多少なりとも人生を経験し歳をとった私には
恥ずかしいなどとは
微塵も思わなかった。
父は生前、私たちの言うことは無視して
好き勝手やってきた。
だから、あの病気も仕方ないといえば
仕方ない結末。
だけど生きてる間は
なんとかしてあげたい。
力になってあげたい。
父の死に直面して
思うことはそのことだった。
正直、私の父はそこまで仲がいいわけではなかった。
妹曰く
私と父はよく似てるとのこと。。
性格が似てるらしいのだ。
まあ、私はあそこまで酷くはないと
思いたいけども。。笑
だから、意見で衝突することはよくあった。
でも、いつも言い合いになっても
最後は父に勝ちを譲った。
親を言い負かすのだけは
いけないことなのだと
自分では理解してたので。。
まあ、途中までは文句言うども。。笑
親には親のプライドがあって。。
それを私は子供として
守ってあげたいとは思ってた。
あまりにひどい時は反発するけども
私の親の場合
間違ったことを言ってた記憶はない。
なので、私はあれで良かったと思ってる。
私はこんな感じで親に接するものだから
義母のナニーに対する接し方は
異様な感じに見えた。
たいして重要ではないことを
ナニーが間違えて言ったことを
わざわざ訂正し
「変なことを言わないで」と義母がナニーに
言ってるのを聞くと。。
ちょっと辛い私。。
父が言われてるようで
まともに直視できない私。
彼らの関係に
文句言うつもりはないけれど
見たくない光景ではあった。
まだ父のことが完全に消化させれないのだと思う。
今回、ナニーと話していると
会話にならないことが
多くなってきた。。
それはわかる。
そして、思い出話が多くなる。。
その思い出には
私はいないことが多いので
会話が続かないのだ。
そして・・・
前のナニーと決定的に違うのは
自信のなさ。。
自分が話してることが「合ってる」のかが
毎回気になり
話を濁すことが多くなる。
きっと否定され続けたせいで
自信がなくなったのだろう。。
間違いに対し重要なことだったら
肯定しつつ否定する。
私は父によくこの方法で話してたのだが
この表現はもしかしたら日本だけなのかもしれない。。
でも、白黒はっきりさせたい英語でも
しようと思えばできると思うのだ。
子供として
親にはちゃんと元気でいてほしい
その気持ちはわかるのだが
それを肯定するために
ナニーがボケたことに対して否定を繰り返した結果
ナニーは自信を失った。。
なんだか切ない。
私はナニーに肯定することを心がけた。
ナニーが間違ってるかもだけど。。
と言うと
「いや、合ってるから大丈夫。」と
何度も何度も言ったのだけども
所詮、私は英語圏の人間ではない。
私の肯定では弱いのだ。
そのもどかしさに
ちょっと息が詰まりそうになるが
私のできることは
肯定のみ。。
少しでもナニーが自信を持って話したいと思えるよう
頷き、聞くことに徹した。
私の分析だとまだ30%くらいしか
記憶が曖昧ではない。
完全に初期の状態。
96歳でこれなら
ものすごく立派。
確かに、途中で何やってたか
忘れることが多いけども
その時は
「今は、これとこれをやってたんだよ!」っと
優しく教えるようにした。
色々ナニーの世話をしながら
私は父とナニーを重ねてることに気づいた。
もう、死んで何もしてやれない父に
ナニーを通して何かできる機会が与えられた
そんな気がして
ちょっと嬉しい私。。
しかし、不安な時ほど
娘にいてほしいナニーは
私を求めてはいなかった。。
義母にそばにいてほしいのだ。。
しかし、この日はクリスマスの準備で
みんな忙しく
特に義母は主体となって料理してたので忙しかった。。
私は早く義母にナニーと一緒にいて欲しかったため
出来るだけ手伝った。。
レッドキャベツの一品を作るんだけども。。
野菜を切ると言うのが苦手な義母。。
それをなぜか夫に頼む義母。。
面倒くさい仕事→夫にさせたほうがいい
と思ったようだが
夫もそんなに上手じゃない。
時間がかかってしょうがないので
私が「お義母さん
切るのは私の方が早いです。」と
夫のものも取り上げ
大量のレットキャベツの千切り3分で終了。
「次!」と
切るもの全てを担当。。
あっという間に終了。。
次。
洗い物。
クリスマスの料理をするのに
キッチンはてんやわんや。。
義父母のキッチンは
一般的なイギリス人家庭のキッチンより広い。
とはいえ、
片付けないと作業に支障が出るのは事実。
早くしたければ
片付ける。
これが鉄則。
私はキッチンを片付け
次々に義母の仕事を終わらせた。
やっと義母に時間ができたので
リビングに座れることに。。
ナニーは嬉しそう。。
この間、もちろん、ナニーだけでなく
義父も働いていて・・・。
義父は言っちゃ〜悪いが
夫の家族の中の男の中で
一番手伝う。
夫も義弟もしないわけじゃないが
義父ほどではない。。
今回のクリスマスの料理の
半分は義父が作った。。
しかし・・
キッチンが見えないナニーは
自分の娘が馬車馬のように働かされていて
義父は何もしてない・・・
と思ってしまったようで
そりゃ〜ご立腹。。。
ナニーが義父の文句を言い始めた。。
まずい。。。
このパターンは気まずくなる。。
そう思った私は
「これも、あれもぜーんぶ
義父が作ったんですよ!」と
アピールしたものの
フリーになってもちょっとナニーと座っては
すぐにキッチンに行ってしまう義母。。
ナニーは
なかなかリビングに姿を現さない義母が
義父のせいで大変なんだと思い込んで
納得いかない様子。。
私はキッチンに行って
「ナニーと一緒に座ってくつろいでください。」と
義母に言ってみた。。
しかし、義母だって
自分の時間が欲しいのは
私もわかってた。。
バタバタと料理して
やっと自分の時間になったのに
親の世話などしたいとは
思わないであろう義母。。
わかるけど
義父のいる前で
ナニーが勘違いして
色々文句言い出す前に
何とかして欲しい私。。
今回のクリスマスも雰囲気悪いなんて
いやだよ。。。
しかし、そんなこととは知らず
「もうちょっとここでゆっくりするわ」と義母は
キッチンにとどまった。。
ナニーと義父がいるリビングは
何とも言い難い雰囲気。。
それをあたふたして見守る私。。
こんな感じでクリスマスイブは
スタートしたのであります。。